野球とサッカーが好きな人間のブログ

野球とサッカーが好きな人間が好き勝手に喋ってます!順位予想とかもやってます!

待ち望んでいた「アルビレックス新潟 トップ下争い」激化!高木善朗選手と伊藤涼太郎選手に注目!

アルビレックス新潟「4-2-3-1」のシステムを採用している。そして、いわゆる「トップ下」と呼ばれるポジションは1人のみが先発出場することになる。

そして、トップ下には2人の強力なプレーヤーがいる。「新潟のキング」高木善朗選手「天才」伊藤涼太郎選手の2人だ。

 

①  昨シーズンまでの流れ

アルビレックスが4-2-3-1のシステムを主として採用したのは2019シーズンの途中吉永一明監督の時代からだった。

(※それまでは有力なブラジル人選手を活かすためか、「4-4-2」システムを主として採用しており、「トップ下」がない状態だった。2010シーズンから2012シーズンまでのミシェウ選手と2017シーズンのチアゴガリャルド選手は、実質「トップ下」と言っていいが、ここでは「2トップの一角」としてカウントしています。)

2019シーズン途中から本格採用されたトップ下だが、当初はシルビーニョ選手高木善朗選手とで争われていた。しかし、シルビーニョ選手は抜群のテクニックがあったが、ムラが激しく、守備面での貢献も決して高くなかったという印象で、最後には高木選手が主として起用されることが多くなるという展開だった。

シルビーニョ選手が退団した2021年シーズンに至っては、高木選手の独壇場だった。「4-2-3-1」システムを採用したのが40試合だったが、そのすべての試合で高木選手がトップ下で先発出場しており、対抗者がいない状態となっていた。そのためか、高木選手の疲労がたまっても代えが利かず、終盤戦のパフォーマンス低下に直結する形となっていた。

 

② 2022シーズンの流れ

そんな事態を重く見たのか、2021シーズンのオフに強化部は「対抗候補」を獲得する水戸ホーリーホックで圧巻のテクニックを見せていた伊藤涼太郎選手だ。

開幕から4試合はトップ下を2人並べる「4-1-2-3」システムを採用し、高木選手伊藤選手共存政策を図ったが、あまりハマらないとみるや、松橋力蔵監督は「4-2-3-1」システムへ戻すことを決断(第5節・ヴァンフォーレ甲府戦から)。ここから、トップ下を巡る争いが良い影響を生むことになる。

最初に魅せたのは伊藤選手。前述のヴァンフォーレでは、前半26分に敵陣でボール奪取→松田詠太郎選手へのパスで先制点の起点となる。さらに前半31分、堀米悠斗選手から供給された左からのクロスに難易度の高いダイレクトボレーを叩き込んでの移籍後初ゴールを決めて、チームにシーズン初勝利をもたらす。


www.youtube.com

(前述した「難易度の高いダイレクトボレー」はこの動画の2分41秒頃からのシーン。本当にすごい)

 

さらに第6節・ザスパクサツ群馬では谷口海斗選手の2点目を演出する技ありのダイレクトスルーパスによるアシストを決めて、存在感を発揮してみせた。

一方の高木選手も負けていない。第9節・栃木SCで先発出場すると、前半9分にコーナーキックからイッペイシノヅカ選手のゴールをアシスト。さらに後半30分には創造性溢れる浮き球のスルーパス谷口選手のゴールをアシストと、1試合2アシストを決める。さらに第11節・V・ファーレン長崎では、1-1の同点で迎えた後半29分に魅せる。本間至恩選手が供給した左からのクロスに利き足とは逆の左足で芸術的なダイレクトボレーを叩き込み、これが決勝点。チームの勢いを加速させる圧巻のゴールを決めてみせた。

「やっぱり高木選手がファーストチョイスかな」と思わせた直後の第12節いわてグルージャ盛岡戦、今度は伊藤選手が魅せる。前半44分、センターサークル付近でボールを受けてドリブルで1人を抜くと、そこからスルーパスを出す。そこに走り込んだ松田選手がゴールを決め、アシストを記録。さらに、第14節・ツエーゲン金沢では、前半30分に魅せる。ペナルティエリア近くでイッペイ選手とパス交換、さらにペナルティエリア侵入後には谷口選手とのパス交換で相手ディフェンスを翻弄し、最後は自らシュートを決め、これが決勝点。

その後も、

高木選手

第15節 東京ヴェルディ先制ゴール

第19節 モンテディオ山形で、1点目の起点

第21節 大分トリニータでは2ゴールを挙げ、チームの全得点を奪う

伊藤選手

第17節 横浜FC1点目と2点目の起点

第18節 水戸ホーリーホックではコーナーキックから本間選手のゴールをアシスト、さらにプレーのクオリティで松橋監督から名指しで高評価を受ける。

第19節 モンテディオでも、コーナーキックから田上大地選手のゴールをアシスト

第22節 ブラウブリッツ秋田では鮮やかすぎるループシュートで3点目を獲得。

第24節 ザスパクサツでは味方との連携で抜け出してゴールを挙げる

 

このように2人揃って活躍を見せており、第24節・ザスパクサツ群馬戦終了時点では、

高木選手→6ゴール3アシスト

伊藤選手→4ゴール5アシスト

という数字となっている。

 

③高木選手・伊藤選手、それぞれの良さについて

高木選手伊藤選手という2人の強力なトップ下のプレーヤーを擁するアルビレックス。どちらが出ても攻撃力が落ちることのない、素晴らしい形となっているが、2人の良さとは何なのか。ここからは私なりの見解を記すことにする。

高木選手の長所

・抜群のポジショニングの良さ

・在籍5年目らしい、チームメイトとの連携

・守備面での高い貢献度

 

高木選手の長所としてはこの3つが思い浮かんだ。(もちろん、これ以外にも存在する)

まずはポジショニングの良さ」だ。これが顕著に表れたのが第21節・トリニータこの試合では2ゴールを奪ったのだが、2ゴールともポジショニングのうまさが際立ったものだった。

1点目は鈴木孝司選手が中盤に下りてボールを受けたタイミングで、高木選手は最前線にポジショニングを取る。さらに、トリニータのディフェンスラインの高さを確認して、オンサイドギリギリに位置取ると、鈴木選手のスルーパスに反応して裏抜け、ゴールキーパーとの1対1を制した。

2点目は右サイドの松田選手のクロスに合わせたものだが、この直前の動きが良かった。最初はアサイドに入っていた高木選手だが、味方の動きや相手ディフェンスの動きを見て、ファーサイドに方向転換鈴木選手がニアに入り相手ディフェンスを引き付けることで出来たスペースに移動し、フリーでシュートを撃つことができた


www.youtube.com

(この動画の0分50秒~2分21秒まで見てもらえればわかるかと思われます。)

 

「チームメイトとの連携」については、やはり在籍年数の長さが顕著に出ている。特にセンターバック舞行龍ジェームズ選手田上選手、左サイドバック堀米選手ボランチ島田譲選手、左サイドハーフ本間選手といった3年以上共にプレーしている選手との連携は一日の長がある。

「守備面での高い貢献度」も忘れてはならない。ボールホルダーへの寄せパスコースを切る動きなど、サボらずに続けることができ、前線からの守備構築に大きく貢献している。球際でも激しく闘うことができ、「闘えるファンタジスタとして貴重な存在である。

 

伊藤選手の長所

・圧倒的なボールテクニックと創造性

・シュートレンジの広さ

・途中出場からでも数字を残せる個人能力

 

一方、伊藤選手の長所としてはこの3つが思い浮かんだ。(もちろん、これ以外にも存在する)

まずは「圧倒的なボールテクニックと創造性」だ。特に顕著に現れたのは第12節・グルージャ戦と第22節・ブラウブリッツ戦だ。

グルージャ戦の前半44分に見せたスルーパスは、まさに圧巻の一言。右サイドから中へ走り込む松田選手へのパスとなるわけだが、パスを出した瞬間はペナルティエリア手前にできた「スペースへのパス」という感じ。「どこまで先が見えてるの!?」というようなパスだった。しかもパスの強さも完璧で、これ以上強いとキーパーにキャッチされるし、弱ければディフェンスにカットされる。本当にこの強さしかないというパス

私の語彙力が足らずうまく説明できないが、以下のハイライトの2分06秒あたりから見てもらえれば、何を言いたいかがよく分かるかと思われる。とにかく凄いのである。


www.youtube.com

また、ブラウブリッツ戦で見せたループシュート創造性とテクニックの象徴といっていい。これは以下の動画の4分52秒くらいから見てもらえばわかる。ループシュートを選択できるセンスそれを可能にする技術の高さは凄まじい。

ちなみに伊藤選手のループシュートを生み出したシマブクカズヨシ選手の70メートル級ドリブルも圧巻なので、そこも注目だ。


www.youtube.com

 

「シュートレンジの広さ」も魅力の一つだ。アルビレックス移籍後はまだ決まっていないが、ミドルシュートが素晴らしい。ホーリーホック在籍時に見せたミドルシュートによるゴールが以下の動画である。


www.youtube.com


www.youtube.com


www.youtube.com

 

また、「途中出場からでも数字を残せる個人能力」も魅力だ。途中出場しているモンテディオ戦ではアシストを、ブラウブリッツ戦ではゴール(前述したループシュート)を記録している。また、2021シーズン(ホーリーホック在籍)には、途中出場した第41節・愛媛FC戦で決勝ゴールを、第42節・ヴァンフォーレ戦では2ゴール1アシストを記録。途中出場でも数字を残せる選手というのは貴重だし、「短い時間でもインパクトを残せるだけの個人能力がある」証拠である。

 

 

高木善朗選手伊藤涼太郎選手。それぞれに個性を持つ2人のトップ下でチームをJ1へ導くことができるか。熾烈な競争に注目だ。

 

 

以上

ダイヤの原石はJ2に居る 注目選手10選手を紹介

22チームによる激しい戦いが繰り広げられるJ2リーグ

そのJ2リーグの特徴の1つが、「有望な若手選手が多く躍動していること」だ。

今回は、J2リーグで才能を見せている(個人的に注目している)若手選手を10人紹介することにする。

(なお、ここでいう「若手選手」は1998年4月2日より後に生まれた選手とします。)

①から⑩の順番は、個人的注目の度合いが高い順からとなっています。

 

① 三戸舜介選手アルビレックス新潟 MF 2002年9月28日生まれ)

今、最も勢いのある快足ウインガー。先日、U-21日本代表に選出されたことで、知名度も一気に上がったのではないだろうか。また、Jリーグ選出の「2022年J2リーグ 5月MVP」にも輝いている。

164センチと決して体格に恵まれているわけではないが、それを感じさせないドリブルのキレスピードは驚異的。パスセンスもハイレベルで、周りの選手を活かしたプレーもできる点も評価が高い。また、シュート力はチームでも屈指。ここまでのキャリアでリーグ戦5得点をあげているが、その内4点はペナルティーエリア外からのシュートである。

加えて、守備の強度も高い。類い稀な才能を持ちながら、手を抜かずに攻守に動き回れる三戸選手は今のアルビレックスのサッカーには欠かせない存在である。

 

② 椿直起選手水戸ホーリーホック MF 2000年6月23日生まれ)

マリノスのキレキレドリブラーで、若いうちから海外移籍(オーストラリア・メルボルンシティFC)も経験している選手。

2020年にはギラヴァンツ北九州でプレーし、J2・5位への躍進に大きく貢献した。彼の細かいボールタッチで進むドリブルは分かっていても止められない。また、左サイドからカットイン→シュートはJ2では屈指。①であげた三戸選手よりもドリブラー色が強い選手という印象である。一方で守備に難があるのか、先発出場とジョーカー起用が半々と言ったところか。

しかしドリブル能力はホンモノだ。ホーリーホックの試合を見る際は、この天才ドリブラーを要チェックだ。

 

③    佐野海舟選手FC町田ゼルビア MF  2000年12月30日生まれ)

ゼルビアが誇るJ2屈指のボールハンター。長く主力として活躍しているせいで忘れていたが、この選手、まだ21歳だったのである。

ダブルボランチを採用するゼルビアで、相棒である高江麗央選手と共にチームを牽引する佐野選手。最大の武器である圧倒的なボール奪取力は、高い危機管理能力を活かしたポジショニングの良さフィジカルの強さの賜物である。

加えて、攻撃面でも貢献できるようになってきており、昨シーズンは6ゴールを記録している。

2年前からJ1への個人昇格が囁かれているほどの才能の持ち主。ボールハンター系ボランチを求めるのであれば、この選手はチェックしておくべきだ。

 

④    坂本亘基選手ロアッソ熊本 MF  1999年1月19日生まれ)

躍進続けるロアッソを象徴する高性能アタッカー。166センチと小柄ながら、それを全く感じさせない豊かなスピードを活かしたドリブルで相手守備陣を崩し、パワフルなシュートを放つ。シュートレンジがかなり広く、30メートルくらいのミドルシュートであれば強烈かつ枠にしっかり入れてくるという印象。昨年のJ3最終節で、チームのJ2昇格を決めるスーパーミドルを突き刺したことは、サポーターの記憶に新しいところだろう。

ちなみにジュニアユース時代からロアッソに在籍していた「地元産」であり、この点もポイントが高い。「地元クラブの旗頭」としてJ1に導く活躍を期待したいところだ。

 

⑤    バスケスバイロン選手東京ヴェルディ MF 2000年5月16日生まれ)

チリが生んだ才能豊かなドリブラー青森山田高校時代からその名を轟かせていたバスケスバイロン選手だが、今年から加入したヴェルディでは「ジョーカー」として多くの出場機会を得ている。

最大の武器である、テクニカルかつスピードとパワーも兼ね備えたドリブルはJ2屈指。それに加えて、シュートやパスも非凡だ。ここまでJ2リーグ4ゴール3アシストを記録しているが、これをわずか506分の間で挙げているということが高いセンスの裏付けだ。

攻撃力の高さは証明済み。守備の強度やスタミナ面を改善させ、常時スタメンの座を掴みたいところだ。

 

⑥    佐藤凌我選手東京ヴェルディ FW 1999年2月20日生まれ)

抜群のスピード裏抜けの技術で相手ディフェンスラインを翻弄し、決定機を確実に仕留めるスナイパー。昨シーズンは大卒ルーキーながら、42試合13ゴールの大活躍を見せ、ヴェルディ若手陣の旗頭となった。今シーズンもここまで21試合で8ゴールを叩きこむ活躍ぶりで、サポーターからの期待に見事に応えている。

生え抜き日本人エースが長らく不在だったヴェルディにおいて、彗星の如く現れた大器だ。

178センチと決して大柄ではないが、ポストプレーも巧みであるのもポイントが高い。加えて、端正なマスクの持ち主で、女性人気を得やすい点も注目だ。

 

⑦    長谷川元希選手ヴァンフォーレ甲府 MF 1998年12月10日生まれ)

高いテクニックでヴァンフォーレの攻撃を操る若き天才司令塔パスよし、ドリブルよし、シュートよしの三拍子揃った万能型である。

まだ23歳ながら、ピッチを俯瞰で見渡せるような冷静な振る舞いと視野の広さで攻撃を牽引し、周りを存分な活かすその姿は、正に「天才司令塔」そのもの。その才能はピッチ内で異彩を放っている。

現在はJ2で10位と苦しんでいるヴァンフォーレだが、この選手が更なるレベルアップをたせば、自ずとチームは上位に食い込める。

「1人で違いを生み出せる男」それが長谷川元希選手だ。

 

⑧    土信田悠生選手ロアッソ熊本 FW 1999年7月23日生まれ)

高い身体能力とシュート能力の高さを誇る、ロアッソ期待のエース候補。

現在はリーグ戦1ゴールと、決して本領発揮とはいっていないが、フィジカルの強さどんな体勢でも正確なシュートを打ち込める身体能力はホンモノ。

現在は途中出場が多く、出場時間は短いが、その中でも存在感を発揮しているところからも、力があることは間違いない。

2歳上のエース・髙橋利樹選手の存在も大きく、お互いに刺激し合い、切磋琢磨して、将来的には「ツインタワー」がチームを高みへ誘ってくれるはずだ。

 

⑨    山根永遠選手ザスパクサツ群馬 MF 1999年2月5日生まれ)

ザスパクサツが誇る左サイドの核弾頭。積極的にドリブルを仕掛ける姿勢は見ていて清々しいほど。スピードはもちろんのこと、大きな切り返しを使ったドリブル力は高いレベルにあり、対峙するディフェンダーを惑わす。相手ディフェンスラインの裏を突くタイミングも良く、カウンター攻撃を狙うチームにはかなりフィットする。

また、ロングシュートの技術も高く、第18節・ロアッソ熊本戦では35メートル級のスーパーミドルシュートを突き刺した。

守備に臨む姿勢も良く、小柄ながらフィジカルの強さを活かしてボール奪取、そのままドリブルを展開というシーンも多く見られる。

 

⑩    橋本健人選手レノファ山口FC DF 1999年12月8日生まれ

レノファの左サイドをストロングポイントに変える超攻撃的サイドバック

正確無比なクロスの持ち主かつ、スペースがあればドリブルで相手守備陣を切り裂く積極性も兼ね備えている。今のJ2左サイドバック陣の中でも、「見ていてワクワクする」度では最も高いレベルといって良いだろう。守備の強度も持ち併せており、将来的には日本代表も視野に入ることは間違いない。

ちなみに大卒ルーキーながら、「特別指定選手」としてレノファに2年間在籍していた。

人気YouTubeチャンネル「MILKサッカーアカデミー」では、特別指定選手時代から絶賛されており、Jリーグファンの中では知名度は高い。

 

 

今あげた10人以外にも、J2には有望な若手選手が多い。J2を観れば、近未来の日本サッカーを牽引する選手たちをチェックできるので、少しでも関心を持ってもらえれば幸いです。

 

 

以上

「アルビレックス新潟 ボランチ問題」を変えた起用法

今シーズンの開幕前、数多くのアルビサポの中ではアルビレックス新潟 ボランチ問題」が巻き起こっていたのではないだろうか。私もそんなアルビサポの1人だった。その証拠に、シーズン開幕前に書いた以下の展望記事にはこう記している。

・「単純に枚数が少ない。」

・「特に「ボール奪取・回収系」が少なく、高選手が離脱した場合、または累積警告による出場停止になった場合は、相当苦しくなる。」

 

kka2b-sportswokataritai.hatenablog.com

 

 

①そもそもアルビレックス新潟 ボランチ問題」とは何か。

 

端的に言えば、「レギュラークラスのボランチが圧倒的に少ない」というものである。

開幕前の展望では、高宇洋選手島田譲選手の2人がレギュラークラスだが、控え組との差があまりにも大きいと見ていた。

昨シーズンまでは高選手と島田選手に加えて、福田晃斗選手ゴンサロゴンザレス選手といたため、層が厚いという見方をされることが多かった。(ゴンサロ選手はケガが多かったので、稼働率は低かったが。。)

ところが今シーズン、福田選手がサガン鳥栖へ移籍し、ゴンサロ選手が退団となった。さらにそこを埋めるような「即戦力」の補強はなかった。秋山裕紀選手鹿児島ユナイテッドFCから復帰させ、佐賀東高校から吉田陣平選手を獲得したとはいえ、高選手と島田選手との差は大きいと思われ、選手層に大きな不安があった

 

②開幕後の誤算、2ボランチへの回帰

さらに、開幕後には誤算が生じる。第1節・ベガルタ仙台から第4節・ブラウブリッツ秋田までは1ボランチシステムを採用していたが、チームとして機能しなかった。1ボランチの両脇を突かれ、相手の攻撃を防ぎきれないシーンも目立っていたのだ。3分1敗の開幕4戦勝ち無しという結果を受け、第5節・ヴァンフォーレ甲府から高選手・島田選手の2ボランチシステムに変更。そこからチームは波に乗ったが、

・「この2人をどこで休ませるのか」

・「いざという時に代わりを担える選手がいるのか」

というところの不安は払拭できていなかった。

 

③最大の危機

松橋力蔵監督もその点は重々承知していたのだろう。第13節・FC琉球戦から秋山裕紀選手をスタメン起用し、「高・島田・秋山」の3人でローテーションする起用法を取り入れた。秋山選手は当初の予想に比べると、攻守ともに力を付けていたという印象。秋山選手先発の3試合も2勝1分という戦績が示すとおり、チームの歯車にハマっていた。(「高・島田」コンビに比べると守備の安定性に不安はあったが。)

 

しかし、「いざという時」は突然訪れる。第15節・東京ヴェルディの直後、チーム内で新型ウイルス罹患者が複数確認されることとなった。それに伴うコンディション不良で、島田選手秋山選手が離脱。第16節・町田ゼルビアを前にボランチ2枚が離脱する最大の危機が訪れてしまった。

 

④思わぬ起用法

これまでのリーグ戦で先発起用していたボランチ3人のうち2人が抜けてしまった状況。この窮地を切り抜けるため、松橋監督が選択したのは、

・「星雄次選手ボランチ起用」

・「高卒ルーキー・吉田陣平選手の登用」

だった。

サイドハーフサイドバックを本職としている星選手だが、大分トリニータ在籍時にはシャドーストライカーの位置でもプレーをしており、中央部のポジションにも適応力はあるとは思っていた。しかし、ボランチというポジションは攻撃も守備も両立できなければいけない上、比較対象が「高・島田」ということもあり、本職ではない星選手が対応できるかは不安があった。

また、高卒ルーキーの吉田選手もそれまでリーグ戦未出場ということや、フィジカル面や守備面での不安があった。

 

⑤星選手と吉田選手が見せた能力の高さ

しかし、そんな不安はすぐに払拭されることになる。

まず星選手町田の前半18分、ピッチ中央でイッペイシノヅカ選手がボールを運び、左サイドでオーバーラップした堀米悠斗選手に展開。堀米選手のクロスに反応してペナルティエリア内に飛び込み、フリーの状態でシュートを放ったのがボランチ起用されていた星選手だった。シュートを防がれてしまったことで評価を落としてしまった感は否めなかったが、ボランチの選手がペナルティエリア内に侵入し、シュートを放つというシーンは、これまでにあまり見られないシーンだったため、かなりの見ものだった。

続く第17節・横浜FC第18節・水戸ホーリーホック第19節・モンテディオ山形の3連戦では、攻守において気の利くポジショニングと高い技術を見せた。特に横浜FCの前半6分に見せた2点目のシーンは象徴的。伊藤涼太郎選手堀米選手谷口海斗選手を中心に敵陣中央でパスを回している間にスルスルッとペナルティエリア内に侵入すると、小見洋太選手から受けたパスをダイレクトで三戸舜介選手に渡すパスで技術の高さを見せた。第20節・徳島ヴォルティスでは、前半44分にドリブルでボールを持ち運んで攻撃の起点となると、そこから谷口選手の同点ゴールが生まれた。

そして吉田選手。町田の後半36分にリーグ戦初出場を果たすと、アディショナルタイムには相手ディフェンスラインの背後を狙った正確なループパス鈴木孝司選手に通して決定機を演出する堂々たるプレーぶりを見せる。さらに、水戸では高選手の故障により、前半32分からの急遽の投入。経験を重ねた選手でもなかなか難しいシチュエーションでの出場となったが、いきなり存在感を発揮。前半35分、自陣深くで相手の速く鋭いプレッシャーを受けながらも、高いテクニックで回避しつつ、伊藤選手にパスを出してそこからの決定機を生み出す。さらに後半39分にはピッチ中央のルーズボールにいち早く反応。相手を嘲笑うようなワンタッチパスを鈴木選手に通すと、そこから本間至恩選手のゴールが生まれた。懸念された守備力も大きな問題はなく、戦力として十分すぎるほど機能していた。

 

⑥星選手と吉田選手の良さについての私見

星選手については、島田選手高選手とは異なる「攻撃型ボランチといえるだろう。高い守備力と対人能力を持つ高選手とのダブルボランチは非常にバランスが取れている。また、元々の武器でもある「ポジショニングの良さ」を活かした動きが相手守備陣を撹乱しているという印象。攻撃時には、高選手がアンカーの位置に入り、星選手ボランチとトップ下の間に移動して攻撃参加するという形が多く見られる。ボランチの選手が攻撃参加すると、「3列目からの攻撃参加」という言葉をよく聞くが、星選手の場合は「3列目」というよりは「2.5列目」の方が適切な気がする。0.5列分だけ前に入ることで、よりスピードを持って相手ゴール前に迫ることができるし、ボランチとトップ下の間」という中途半端な位置にいる選手へのマーキングに相手守備陣も相当苦慮しているという印象。

加えて、元々サイドアタッカーだったこともあり、ドリブルスキルも高い。なので、パスコースに困ったらドリブルで持ち運ぶこともできる(それが顕著に出たのが徳島の同点ゴールにつながったプレー)。相手にとってこれほど厄介なボランチもなかなかいないだろう。

一方、吉田選手正確無比なパスで前線を操れるという印象で、町田水戸ではその片鱗を見せつけてくれた。特に町田で見せた浮き球のパス(前述のシーン)は圧巻で、「高卒1年目がリーグデビュー戦でこれやるのかよ!?という衝撃を与えた。

新潟には相手ディフェンスラインの背後にパスを出せるボランチが不足している印象が強い。(島田選手高選手も出せるとは思うのだが、あまり出している印象がない。また、秋山選手は本来このタイプのボランチのはずだが、今シーズンはそういったシーンが少ない。)

センターバック千葉和彦選手舞行龍ジェームズ選手がその役割を果たしていたが、吉田選手ボランチに入った場合、相手ディフェンスラインの背後にロングパスを通せる選手が1人増えることになる。しかもセンターバックより1列前、要は「前線により近い選手」となれば、距離が短くなる分、より正確性の増したロングパスが供給されることに繋がる。当然、ロングパス1本で決定機を生み出す可能性はより高くなる。相手は背後を突かれることを恐れてディフェンスラインを容易に上げにくくなる。そうなると、2.5列目に居る星選手やトップ下の高木善朗選手伊藤選手、サイドをえぐる本間選手三戸選松田詠太郎選手へのマークは甘くなってくる。結果、チーム全体の攻撃力が上がることに繋がっているとみている。

また、ドリブルで前に運ぶ技術も優れていて、スルスルッと敵陣に入り込むことができるのも武器の1つだ。

 

 

もちろん星選手は本職ではないし、吉田選手はまだ1年目なので、「今後も安泰だ」とはならないことは想像に難くない。しかし、島田選手高選手とは異なるタイプの2人が登場したことで、ボランチの選手層が一気に厚くなったことは事実

松橋監督が生み出した起用法でより強力となった選手層を武器に、チームはさらに成長を続けていくことになりそうだ。

 

 

以上