Jリーグ開幕まで1ヶ月。各クラブが各々のやり方でチーム構成に着手し、徐々に形作られてきた。いまから開幕が楽しみである。
というわけで、今回は1月28日終了時点での「J2移籍市場、ベスト3」について書いていきたい。
あくまでも筆者の主観なので、「ここが違う」「これは間違ってる」という意見があるのは重々承知しています。ご意見もお待ちしています。
3位 ツエーゲン金沢
なぜかあまり触れられていないが、このオフの動きはかなり素晴らしかったと思う。2023シーズンのツエーゲンは、「ツエーゲン史上最強のチーム」なのではと感じさせるだけの選手たちが揃った。
GKには絶対的守護神・白井 裕人選手がいるが、その牙城を崩す刺客として加入したのが200センチの大巨人、中野 小次郎選手だ。法政大学時代から注目されていた超大型GKが、白井選手とのポジション争いを経て、超J1級の特大のポテンシャルを開花させるのではないかと予想される。
DF陣では右SBの松田 陸選手をジェフに引き抜かれてしまったが、ザスパクサツから小島 雅也選手を獲得してきた。左右問わずに対応できるポリバレント性に加え、2019シーズンには柳下監督率いるツエーゲンでプレーしており、スタイルへの対応には時間は必要なさそうで、その点が大きい。また、庄司 朋乃也選手・孫 大河選手のCBコンビの残留は、チームのベース形成の上で凄まじく大きい。
MF陣では、松本 大弥選手がサンフレッチェへ、平松 昇選手がベルマーレへレンタルバックしていった(平松選手はその後FC琉球へレンタル移籍)が、そこを補って余りあるだけの補強を行ってきた。CH候補としては、FC東京の超有望株のパサー・梶浦 勇輝選手を育成型レンタルで獲得。柳下監督の下でハードワーク面での成長も期待でき、「万能型CH」として確実に台頭してくるだろう。SH候補ではバランス型の石原 崇兆選手と攻撃性能の高さが売りの奥田 晃也選手・加藤 潤也選手と実績十分の実力派を獲得したことで、起用法のバリエーションが一気に増えた。
そしてFW陣では、昨シーズン13得点の活躍を見せ、J1クラブからの引き抜きの可能性も感じていた林 誠道選手と、万能型FWのベテラン・杉浦 恭平選手が残留したことがまず大きい。さらに、ストロングヘッダーの豊田 陽平選手も控えている状況だが、ここにジェフェルソン バイアーノ選手が加入してきた。かつて、ホーリーホックとモンテディオで通算2シーズン、18得点の実績を持つ188センチの大型FWの加入で、前線の得点能力、殺傷能力はJ2でも屈指となった感がある。林選手・杉浦選手・豊田選手・バイアーノ選手の4人だけで40得点くらいは期待できそうな予感が漂う。
攻撃的なポジションに有力な選手を揃えた今シーズン、狙うは年間70得点、そしてプレーオフ進出だ。
2位 ベガルタ仙台
「今年のベガルタはスゴイ」。そんな声が聞こえてきそうなこのオフの動きだ。
まずGKに迎え入れたのは、元日本代表でもある林 彰洋選手。J1で通算259試合出場を誇る経験豊富な林選手の加入は、若き守護神・小畑 裕馬選手にピッチ内外で大きな影響を与えることになるだろう。クラブの未来をも良い方向に変え得る特効薬だ。
続いてDF陣。チームのCBで最多先発出場を誇った平岡 康裕選手が退団したが、そこにやって来たのが、昨シーズン大躍進したロアッソの守備の要、菅田 真啓選手である。空中戦の高さはもちろんのこと、対人の強さも素晴らしく、おまけに25歳という若さも備える。そんなJ2屈指のCBがやって来た。さらに、「伊藤彰チルドレン」である小出 悠太選手も加入。3バックのCB、4バックのSB、どちらもこなせるポリバレント性を持った小出選手の加入は、伊藤彰監督にとっては大きいだろう。SBは主力中の主力、真瀬 拓海選手と内田 裕斗選手が残留しており、さらに秋山 陽介選手が復帰した。戦力値は大幅にアップした。
MF陣では、SHの名倉 巧選手がレンタルバックしていったが、他はほぼ残留。特に中島 元彦選手のレンタル延長はチームにとって大きい。これだけでも十分に大型補強だ。
しかしそれだけではとどまらない。
○ヴィッセルから超万能型MF・郷家 友太選手
○サガンから縦に仕掛けられる相良 竜之介選手
○新潟医療福祉大学から特大のポテンシャルを誇るオナイウ 情滋選手
を獲得する。
そして最大の驚きは、ポルトガル1部のポルティモネンセでレギュラーであり、元レッズのボールハンター・エヴェルトン選手の獲得である。この補強はJ2のチームがやる補強ではない。流石に凄すぎる。
昨シーズン苦しんだ失点の多さを、補強組が解決に導く。それを期待できるだけの大補強といえる。3シーズンぶりのJ1へ、今シーズンは「堅守のベガルタ」で挑む。
1位 徳島ヴォルティス
「ジーニアス」柿谷 曜一朗選手、12年ぶりの復帰に沸くヴォルティス。しかし、柿谷選手以外の動きを見ても、今シーズンのヴォルティスフロントの動きは素晴らしかった。
昨シーズンリーグ最少失点を誇った守備陣では、守護神のスアレス選手、強力CBコンビの内田 航平選手とカカ選手を全員残留させた。SBの新井 直人選手こそ移籍してしまったが、エウシーニョ選手や安部 崇士選手を残留させ、新外国人選手のルイズミケサダ選手を迎え入れた。強固な守備陣が連携を深め、より強力な堅守を形成しそうだ。
中盤陣もまた主力が全員残留。特に西谷 和希選手、杉森 考起選手の強力ドリブラーとチーム最多先発出場のCH・白井 永地選手の残留は大きい。さらにその上で補強を敢行する。CHの即戦力候補として早稲田大学から山下 雄大選手を、攻撃的MF候補には「京都の至宝」と呼び声も高かった中野 桂太選手を獲得。さらに、WGの層を厚くするべく、松本山雅から外山 凌選手、アルディージャからスター候補生の高田 颯也選手を獲得。昨シーズンと比較すると、かなりの層の厚さとなっていて、中盤陣は2〜3チームを形成できるほどだ。
そして衝撃はFW陣。藤尾 翔太選手、一美 和成選手、ムシャガバケンガ選手の退団でどうなるかと思われたが、連れて来た選手たちがもの凄い。
○レイソルから大型CFの森 海渡選手
○エスパルスから若手超有望株の千葉 寛汰選手
○アビスパからは渡 大生選手(6シーズンぶりに復帰)
○国士舘大学から大物ルーキー・棚橋 尭士選手
を獲得し、CF候補に4人もの強力FWが揃った。
これだけでも凄まじいと思っていたが、そこにまさかの柿谷 曜一朗選手電撃復帰ときたものだから、その衝撃たるや.....。
監督が変わったこともあり、序盤戦の出来がカギを握ってくるだろうが、この序盤戦をうまく過ごすことができれば、J1復帰も明確に見えてくる。それだけのメンツを集めることに成功した、素晴らしいオフと言えるだろう。
以上