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「宮﨑敏郎後継者問題」にベイスターズはどう向き合うのか

ベイスターズのサード」と言えば、宮﨑敏郎選手だ。

2012年ドラフト会議でベイスターズから6巡目指名を受けて、プロ入りすると、

セ・リーグ首位打者 2回(2017、23シーズン)

〇2017シーズンから8シーズン連続で規定打席到達

〇シーズン打率.300以上 6回(2017、18、20、21、22、23シーズン)

セ・リーグベストナイン三塁手部門) 3回(2017、18、23シーズン)

セ・リーグゴールデングラブ賞三塁手部門) 2回(2018、23シーズン)

このような実績を残してきた。

今では誰もが認める、球界屈指の好選手である。

 

そんな宮﨑選手だが、今年で37才を迎える。年齢が重なるにつれて年間通してフルで出場するということも難しくなってきたか、直近4シーズンでは、定期的な休養日を与えたり、代打待機する試合も増えてきた。

また、OPSも2023シーズンをピークに下降傾向に向かっており、2025シーズンは自己ワーストレベルとなる.727(8月31日終了時点)となっていて、衰えのスピードはかなり速くなっている。ここに守備範囲の狭まりや走塁面での貢献度の低さも相まって、後継者を求める声は日を追うごとに多くなっているのが現状である。

 

ベイスターズのサード事情

しかしながら、宮﨑選手の後継者となり得る選手がいないのもまた事実である。

宮﨑選手の休養日にサードに入る主な選手は、三森大貴選手京田陽太選手となるが、あくまでも本職は違うポジション(三森選手はセカンド、京田選手はショート)であり、打力もコーナーポジションを担う選手としてはどう考えても足りていない

2軍を見てみても、井上絢登選手加藤響選手がサードを守るケースが多いが、2人とも打撃面では長打力こそ目を見張るものはあるが、まだまだ粗い

また、井上選手の守備力が「1軍でレギュラーを任せられるレベル」には到底及んでおらず、守備率にして8割台中盤という状態。

加藤選手は守備力に関しては問題ないが、本来は「打力のあるセカンド・ショート」として期待されている選手のはずなので、「宮﨑選手の後継者」になってしまっては、編成としては困るはず。

 

上記のとおり、今のチームの内野手事情では、2026シーズンから目処が立ちそうな後継者を見出すことは困難といえる。宮﨑選手の衰えのスピードを考えれば、非常に危険な編成状態といえるだろう。

 

【今回の主題について】

この宮﨑敏郎後継者問題を解決するためには3つの選択肢があると私は考えている。

今回はこの3つの選択肢について考えていくこととする。

 

選択肢① 「2025年ドラフト会議で即戦力のサードを獲得する」

まず考えられるのが、今年のドラフトでサードを獲得することだろう。幸いなことに今年のドラフトには、有力な「強打のサード」候補が多く存在する。

その筆頭格が創価大学立石正広選手だ。180センチ86キロという恵まれた体格から繰り出す圧倒的な長打力を武器にした打撃力がウリの選手だが、セカンド・ショートもこなせる守備力の高さも併せ持つ、近未来のスター候補生である。実際にベイスターズのスカウト陣も昨年の時点で「来年のドラフトの1位候補」と明言をしているほどの逸材だ。

法政大学松下歩叶選手も有力な候補といえる。こちらも優れた長打力を武器にした打撃力、卓越した守備センスを併せ持つ選手で、ドラフト上位指名はほぼ確実な選手だ。実はもともとセカンドやショートを守っていた選手であり、機動力の観点でも問題がない点も見逃せない。

東洋大学池田彪我選手日本大学谷端将伍選手は、守備力や機動力の面では上記2人と比べると劣っているものの、打撃の確実性、長打力や勝負強さはそん色がない。特に池田選手については、ベイスターズスカウト陣からは「一押し」というコメントが出ており、指名の可能性は十分ありそうだ。

 

とはいえ、現在の球界では強打のサードに困っている球団が多く、外国人選手を獲得して急場をしのぐ策をとったり、世代交代がうまく進んでいない印象が強い。

また、タイガースには佐藤輝明選手、スワローズには村上宗隆選手という絶対的な存在がいるので、一見困っていないように見えるが、近い将来のメジャーリーグ流失を視野に入れる必要があり、この2球団も獲得戦線に乗り出す可能性は高そうだ。

立石選手松下選手の争奪戦は確実に発生しそうで、池田選手谷端選手も上位指名される可能性がある

加えて、今年のベイスターズのチーム編成に目を向けると、

〇先発ローテーションの半分が外国人選手で、来年の運用すら怪しいこと

〇近未来の先発ローテーション候補が伸び悩む現状

〇リーグの趨勢を変えてしまうほどの「大エースとなれる投手」が現チームには不在であること

から、投手中心のドラフトとなることが予想されている。

 

そのため、上記した選手たちを誰1人として指名することができない可能性も考えられる。

 

選択肢② 「牧秀悟選手・度会隆輝選手のサードコンバート」

上記①が実現不可能な場合、「今いる内野手・外野手の選手をコンバートする」という選択肢を検討する必要がある。

この場合、有力視されるのが現在セカンドのレギュラーを務める牧秀悟選手であったり、外野で出場している度会隆輝選手サードにコンバートするという選択肢だ。

 

【牧選手の場合】

牧選手のコンバート案についてはすでに何度も話題にあがっており、編成・首脳陣も構想は練っていると思われる。

「強打のセカンド」という、他球団にはない大きなアドバンテージをもたらしている牧選手の存在。しかし、守備力という点ではやはり不安材料にはなってくる。(ちなみに、178センチ93キロの公称だが、実際にはもっと体重は重いものと思われる。)

セカンド・ショートは守備機会の多さや範囲の広さから、体への負担が大きいと言われるが、それは牧選手についても例外ではない。実際、負担の大きさもあってか、守備範囲などの指標は年々悪化傾向にある

(2025シーズンの守備指標は改善傾向にあるとはいえ、負担の大きさを考えると、遅かれ早かれコンバートはすることになりそうだ。)

また、牧選手離脱の期間中、主にセカンドに入ったのが大卒3年目の林琢真選手だが、元々有していた高い守備力に加え、攻撃力の面でも成長が著しく、「1年間レギュラーとして見てみたい選手」へと進化を遂げつつある。

そもそも、牧選手の打力であれば、打力を求められるサードでも全く問題にはならないはずだし、1塁への遠投に必要な肩の強さについても問題ないので、「サード適性」はあると思われる。

コンバートするタイミングとしては、これ以上ないほどに条件が整っている

 

そして、この状況で迎える今年のドラフトで、守備力に定評のある二遊間候補の大学生もしくは社会人のいわゆる「即戦力型の選手」を指名した場合、牧選手コンバート案」は一気に現実味を帯びてくることになるはずだ。

 

【度会選手の場合】

「これはないだろ」と思われるかもしれない「度会選手のサードコンバート案」。しかし、布石はすでに打たれているのかもしれない。

(布石①)

まず、度会選手が現在メインとしている外野についてだが、激戦区と化している

レギュラー格の桑原将志選手佐野恵太選手を中心に、7月以降明らかに進化を遂げた蝦名達夫選手が居て、本来活躍してもらわないといけない(かつ、年代も近い)梶原昂希選手井上絢登選手が居て、出場機会を得るのも容易ではない。2軍を見れば、育成枠でありながらすでに大器の片鱗を見せる小針大輝選手も控えており、選手層に困っているという雰囲気は感じさせない。

ここに加えて、現在ショートとして起用されている森敬斗選手の外野コンバートも時間の問題だろう。ショートとして期待することはもはや絶望的と思わせるほどの守備力の低さはプロ入団6年間で一向に改善される気配がない残念ながら、ショートとしての才能は皆無と思われても仕方がないレベルである。(ファームではいまだにショートとして起用され続けているが、「あまり意味がない」と思っているのは私だけだろうか)

圧倒的な守備範囲の広さと肩の強さはあれども、打ち取った打球をことごとくエラーされてしまっては、投げる投手が気の毒である。

スカウト含めた編成もそのような考えがあるのだろうか、近年はショート候補を獲得しており、この2年だけで石上泰輝選手田内真翔選手加藤響選手と獲得している。さらに、今年のドラフトでは、東海大学の大塚瑠晏選手という「守備力が高く、かつ地元(東海大相模高校出身)のショート候補」を指名するのではないかという動きも見せている。もし本当に指名したとなれば、「そういうこと」なのだろう。

森選手については運動能力に問題がある訳ではなさそうで、しかも高校時代にはセンターもやっていたという経験も踏まえて考えると、早ければこのオフにも外野コンバートとなるだろう。

 

森選手の話が長くなってしまったので、話を度会選手に戻す。

これだけ外野手が多く、かつ若手有望株もいる状況で、森選手のようなアスリート型の選手がコンバートで参戦となると、度会選手のような「打撃特化型」の選手は、厳しい立ち位置となる。とはいえ、

〇打撃の才能はチーム内でも群を抜いていて、チーム力を飛躍的に上げる可能性がある

〇ドラフト1位指名をした手前、(余程ひどくない限りは)起用しない訳にもいかない

〇まだ23才という若さ

〇明るいキャラクターも貴重な存在

となると、今のうちから出場機会は与えたいところ。そうなると、コンバートを視野に入れてもおかしくはないのである。

 

(布石②)

度会選手の球歴を振り返ると、元々はセカンド・サードを守る選手だった。

(現在守る外野についてはENEOS入社後に始めたもので、それはセカンド・サードに好選手がいるというチーム事情が影響していた。)

未経験者にいきなり「はい、サードやって下さい」というのは酷な話だが、幸い経験者なので、現実味はあるはずだ。

また、度会選手を指名した2023年ドラフトの直前ベイスターズは、当時度会選手が所属していたENEOSとで練習試合が行っていた。そこで、ベイスターズ側から「度会選手をサードに守らせてほしい」というリクエストをしていたという。

繰り返すが、ドラフトの直前である。

獲得できるかもわからない状態であるにもかかわらず、ここまで具体的なリクエストをしているということは、「サード・度会」を視野に入れているとしか思えないのである。

試合中での声の出し方などを見ていても、適性はありそうだ。マウンドで戦う投手を孤独にさせない声掛け内野手に必要なスキルの1つ。

ホークス・ジャイアンツで活躍した松田宣浩のようなプレイヤーになってくれると思うし、それだけの才能はあるはずだ。

 

度会選手はまだ23才。ここでサードコンバートしてレギュラーに定着してくれれば、チームとしては「10年~15年、サードに困らない時代」がやって来る

現状でも2軍では敵なしの打撃を見せつけており、(守備・走塁はともかく、)これ以上2軍で実績を積むことは「無駄な時間」といえる。

問題は、「守備の乱れから打撃も崩れていく」という、パーソナルな部分なのだが。。

 

松尾汐恩選手のサードコンバート

①でも②でもない、第3の選択肢」は、これだ

現在21歳、高卒3年目の松尾汐恩選手「将来の正捕手候補」とされている。これに関して異論はない。

実際にチームの中でもその認識はあるようで、「正捕手に向けての英才教育」が施されており、1軍でも定期的に先発マスクをかぶっている。また、キャッチャーとして1軍起用することが難しい時には2軍で実践を積ませるというのが現状である。

加えて、高校時代から評価の高かった打撃能力はプロでもいかんなく発揮されている。2軍ではすでに敵なしの状態で、もうやることがなく、高卒3年目にして、1軍でも十分に通用するレベルとなっている。

また、高校時代はショートも守っていたという、キャッチャーとしては異色なアスレチック性も松尾選手の魅力である。

 

しかし、ベイスターズのキャッチャー陣を見ると、正捕手獲りは容易ではない

現在の正捕手は、日本代表経験もある山本祐大選手である。これはあまりにも大きな壁だ。

〇打率3割も狙える打撃力

〇盗塁阻止力が高く、進塁抑止力としても十分な役割を持つ強肩

〇高いキャッチング能力と「壁性能」

この3つを全て持っているキャッチャーが、今のプロ野球界に何人いるのかというレベルである。

これでまだ27歳という若さまで待ち併せているのだから恐ろしい。

この山本選手がいるため、少なくとも5年、松尾選手が正捕手の座を奪うことは難しいだろう(山本選手のFA移籍や急速な衰えが起きない限りの話だが)

 

「なら『山本・松尾の2人体制』にすればいいだろう」という声もよく聞かれるが、「どちらかを起用すればどちらかが出られなくなる」というジレンマの解決にはなっておらず、このどっちつかずなやり方が今後も続いてしまうと、誰も得をしない。

 

た、「第2捕手」というのは、基本的には週に1~2試合の先発出場となり、出場機会が限られてしまう。こうした役割は非常に難しく、

〇継続的に出場できない状況に耐えることができる「精神的な強さ」

必然的に少なくなる出場機会の中、わずかな機会でも一定以上の貢献を果たすための「準備力」

〇少ない出場機会の中でも、1軍投手陣の信頼を掴むことができる「捕手力」「経験値」

〇正捕手に不測の事態が生じた際にも、チームを崩壊させない「選手力」

こういった能力を高い次元で備えていなければいけない。

 

これを20代前半の選手に求めるのは酷であり、基本的には30代以上で、かつ1軍経験も豊富なベテラン選手(現在のベイスターズであれば、戸柱恭孝選手伊藤光選手のような選手)に任せたい役割だ。

 

以上のことから、山本・松尾の捕手2人体制は、個人的にはあまり推奨したくない。

 

松尾選手の天才的な打撃能力やアスレチック性を活かさない訳にもいかない。が、出場機会が限定的になってしまう今の状況のままでは、特大の才能を無駄にしてしまうことになりかねない。

そこで考えるのが、「松尾選手サードコンバート」である。

 

キャッチャーだけあって肩の強さは申し分なく、高校時代にはショートとしても将来を嘱望されただけあって、内野守備への適応力も(慣れさえすれば)問題ないはず

また、長打力も持ち併せた20代の好打者である山本選手松尾選手同時起用することにもなるため、チーム全体の攻撃力を維持あるいは強化させながらも、「宮﨑選手→松尾選手」という大幅な世代交代することもできるというメリットが大きい構想となる。

 

一方で、当然ではあるがデメリットもある。

〇コンバートによる負担が影響して、松尾選手のバッティングが狂ってしまう可能性があること

〇捕手陣の選手層が大幅に弱体化する可能性が高いこと

この2点は見逃せない。

 

まず、捕手からサードにコンバートすることで考えられるのが、ポジション変更への対応による負担から、長所であるバッティング能力の高さを失う可能性だ。

それまでキャッチャーで出場していた松尾選手が、「ホットコーナー」と呼ばれるほどに強い打球が飛んでくるサードへコンバートすることによる、感覚のズレや守備面での慣れに苦慮した結果、バッティングに悪影響が及ぶ可能性は否定できない。前述したとおり、天才的なバッティング能力を活かすということがコンバータにおける最大の目的であるので、そのバッティングが崩れてしまっては、元も子もない。

また、松尾選手がコンバートするということは、キャッチャーの頭数が1枚減り、層が薄くなることを意味する。

特に「20歳代で1軍経験が50試合以上あるキャッチャー」が山本選手だけになるため、山本選手に何かが起きた時にはチーム全体が大きく崩れてしまうことも考えられる。

そのリスクは考慮しなければならないので、本当にコンバートする場合には、今後3年間のドラフトで「守備に定評のあるキャッチャー」は獲得しておく必要が出てくるだろう。

裏を返せば、このタイミングで20歳代のキャッチャーを獲得するようなことがあれば、『松尾選手のサードコンバート』も構想に入っている」と認識して差し支えないだろう。

そういう意味では、これから3年間のドラフト戦略にも注目するべきだろう。

 

間違いなく、ベイスターズにとって直近の大きな課題と言える「宮﨑敏郎後継者問題」

この課題に対する解決方法を、

上記した3つの方法の中から選択するのか

それとも、

○「第4・第5の選択肢」を見つけ、我々野球ファンに驚きを与えるのか

 

 

ベイスターズの選択に注目していきたい。

 

 

以上