今回は、横浜DeNAベイスターズの「内野コーナーポジション」(ファースト・サード)について書いていくこととする。
【ファースト】
このオフ、ファースト争いに大きな動きが発生した。
2024シーズンのセ・リーグ首位打者であり、チームの4番を担ってきたタイラー・オースティン選手が退団することになったのである。
出場すれば圧倒的な打棒を見せていたオースティン選手だったが、6年の在籍期間で、規定打席到達が1度(2024シーズン)のみ。300打席以上到達すら2度(2021シーズン、2024シーズン)のみという数字が示すとおり、あまりにも怪我が多すぎたこともあり、推定年俸5億円弱というコストに見合うものとは言えないものであった。
そんな状況で迎えた今回のドラフト会議では1巡目で小田康一郎選手(青山学院大)を指名し、交渉権を獲得した。岐阜県の中京高校時代からプロ注目の好打者として知られていたが、青山学院大でさらに進化を遂げ、大学球界屈指の打者となってドラフト指名を受けることとなった左の強打者。出身大学や天才的なバットコントロール、卓越した長打力もあって「吉田正尚2世」とも呼ばれる小田選手は、サードも守れるフットワークの軽さ、守備力の高さも備えてる。ファースト争い、さらに後述するサード争いにも大きな影響を与えることになりそうな逸材だ。
さて、オースティン選手の退団、小田選手の加入を踏まえ、2026シーズン、2027シーズン以降、2031シーズン(5年後)以降のファースト争いについて予想していく。
〇2026シーズン
本命:佐野恵太選手
オプション起用:筒香嘉智選手、牧秀悟選手、ダヤン・ビシエド選手、三森大貴選手
まずは2軍から:小田康一郎選手
〇2027シーズン以降
本命:佐野恵太選手
対抗およびDH起用:外国人選手or小田康一郎選手
オプション起用:筒香嘉智選手or三森大貴選手
〇2031シーズン以降
本命:小田康一郎選手
対抗およびDH起用:外国人選手
オプション起用:三森大貴選手orドラフト指名した選手
代打:佐野恵太選手、筒香嘉智選手
(2026シーズンについて)
まず、2026シーズンについては佐野選手を軸とする起用法となるだろう。
オースティン選手が退団し、代わりに獲得したクーパー・ヒュンメル選手は選球眼のよさからくる出塁率の高さが自慢の選手ではあるが、確実性や長打力という点では過度な期待はできない。打率.250~.270、本塁打15本を打ってくれればかなりラッキーなレベルだろう。(もちろん、それ以上打ってくれるのであれば、ありがたいが)
打線の迫力がこれまでと比べて落ちていることを考えると、安定して打率.260~.280、本塁打12本~20本を期待できる佐野選手の打撃は必要不可欠。加えて、佐野選手の外野守備力の低さを考えると、ファースト起用する方が得策であるのは間違いない。
チーム状況などの関係で佐野選手をレフトで起用せざるを得なかった場合や、林琢真選手・石上泰輝選手を同時スタメン起用する場合には、牧選手やビシエド選手、筒香選手をファーストスタメン起用することが予想される。が、基本的には非常時のオプション起用となることが予想される。
(2027シーズン以降)
佐野選手を軸としたこの起用法は2027シーズン以降も続くことになるだろう。小田選手の成長曲線や起用法、新たに獲得するであろう新外国人選手の力量次第となるだろうが、今後5年くらいは佐野選手が軸となる起用法が続くと思われる。
佐野選手に急激な衰えでも発生したり、小田選手が想定よりも早く1軍中軸レベルに達して、「小田選手を先発起用しないのはおかしい」という声が出れば話は別だが、そんな簡単には進まないだろう。
なお、牧選手は2027シーズン以降のメジャーリーグ挑戦が想定されるので、あえてここでは入れていない。
(2031シーズン以降)
佐野選手を軸とする起用法に終止符が打たれると予想されるのが2031シーズン頃。
5年後のことは誰にもわからないので、あくまでも理想ではあるが、2031シーズンから小田選手をファーストの軸かつ打線の軸として起用していき、2031シーズン開幕時には36歳となる佐野選手を代打の切り札に据えるという形にしていきたいところだろう。(というより、そうならないと、困るのだが...。)
【サード】
サード争いの面でも大きな動きが発生している。
(参考記事)
kka2b-sportswokataritai.hatenablog.com
以前に上の記事を書いたとおり、不動のレギュラーとして活躍してきた宮﨑敏郎選手の存在もあって、「サードのレギュラー争い」はこの9年間、無風状態であった。起用法自体は「常時スタメン」から「時折代打起用」や「時折休養を入れる」というように変わってきたとはいえ、宮﨑選手を軸とする構図は不変だった。
ところが、2025シーズンにサード争いに大きな動きが発生した。
きっかけは宮﨑選手の攻守に渡っての不調や衰えが顕著になったこと。
元来、春先は調子が上がらないことが多い宮﨑選手だったが、2025シーズンは特に数字が残らなかった。3・4月で74打数17安打で打率.230、長打に至っては2塁打1本のみで、ホームランは0という有様だった。
その後、8月には月間5本塁打を記録するなどしたが、シーズン通してこれまでの長打力は発揮できず、シーズン通算では打率.277(321打数89安打)、6本塁打、長打率.389、OPS.725、得点圏打率.244で、いずれも2016シーズン以降ではワーストとなってしまった。
さらに守備面の不調・衰えは深刻だった。元来、そこまで広くない守備範囲でありながら、送球技術・捕球技術の高さでカバーしていたが、これまで以上に守備範囲が狭まり、捕球・送球技術にも衰えが目立った。守備についたのは87試合にもかかわらず、8エラーを喫し、守備率も.956という、これまででは考えられないような低い数字に終わってしまったのである。
攻守での不調及び衰えの深刻さを物語るように、4月末には2軍降格。筆者の記憶が正しければ、2016シーズン以降では初めての「怪我以外での2軍降格」だった。
さらに9月初旬にも怪我で2軍降格したことで、8シーズン連続で到達していた規定打席にも到達できなかった。
この宮﨑選手の状況に加えて、「『サード・筒香嘉智選手』の復活」、「度会隆輝選手、出場機会確保へサード挑戦」の2つが立て続けに発生した。
9月から宮﨑選手の離脱の穴を埋めるべくサードに入った筒香選手だが、サードに入ってから打撃の調子が明らかに良くなった。
9月の成績は21試合で、打率こそ.257(70打数18安打)とそれほどでもなかったが、4二塁打5本塁打19打点、そして18四球を勝ち取り、出塁率.409。長打率も.529でOPSは.938、加えて得点圏打率.450という勝負強さを見せつけた。
特にCSファーストステージのジャイアンツ戦(第1戦)では4打数4安打2本塁打3打点という圧巻の活躍を見せ、中軸として申し分ない働きを果たしてくれた。
横浜高校からベイスターズに入団した頃はサードを守る選手だった筒香選手。2014シーズンからレフトを守ることになったが、これは、
○出場機会を与えるため
○サードを主戦場としてバファローズで活躍していたバルディリス選手を獲得していた
○打撃に集中させる
という事情があったためであり、決して「サード失格」の烙印が押されたわけではない。実際、2025シーズンで見せたサード守備の動きも悪く無く、大きな弱点となるということは無さそうなのはチームにとってはありがたい話だったはずだ。
とはいえ、37歳・宮﨑選手の後継が34歳・筒香選手となっては、根本的な解決にはなっていない。この状況を打破すべく、白羽の矢が立ったのが23歳・度会選手である。
上記した過去記事にも記載したとおり、 横浜高校時代・ENEOS加入当初はセカンドやサードを本職としていた度会選手だが、卓越した打撃センスを活かすべく外野への転向をし、その結果としてドラフト1位指名を受けてのプロ入りを果たした。
しかし、(2025シーズンまでの)ベイスターズの外野陣の層の厚さの前に「常時出場」というところには2年間到達できなかった。出場機会の増大を狙って、度会選手および首脳陣が決断したのがサードへの挑戦だった。すでに秋季キャンプではサードでノックを受けていて、フェニックスリーグでもサードとして出場機会を重ねた。本格コンバートとなるのも時間の問題だろう。
そんなサード事情について、2026シーズン、2027シーズン以降、2031シーズン(5年後)以降の予想を書いていく。
〇2026シーズン
本命:筒香嘉智選手
対抗:宮﨑敏郎選手
オプション起用:度会隆輝選手、三森大貴選手
まずは2軍から:小田康一郎選手、宮下朝陽選手、加藤響選手
〇2027シーズン以降
本命:度会隆輝選手
対抗およびDH起用:筒香嘉智選手
オプション起用:三森大貴選手、小田康一郎選手、宮下朝陽選手、加藤響選手
代打:宮﨑敏郎選手
〇2031シーズン以降
本命:度会隆輝選手
対抗:加藤響選手、宮下朝陽選手
オプション起用:小田康一郎選手、三森大貴選手
代打:筒香嘉智選手
(2026シーズン)
2026シーズンについては、筒香選手を軸とする起用法となることが予想される。
前述したとおり、オースティン選手が退団したことによる打線全体の火力不足が懸念されているうえ、宮﨑選手の打力も下降線をたどっている状態。加えて、宮﨑選手の守備力低下も踏まえると、よほどの事情がない限りは、筒香選手を軸とするほかないだろう。
これまでサードの主戦だった宮﨑選手だが、2026シーズンからは「対抗」という立場になるだろう。ただし、ここではあくまでも「対抗」とはしているが、実際には筒香選手に不測の事態が生じない限りは「代打の切り札」としての起用となるであろう。それほどに長打力や守備力の衰えは目立ってしまっている。
また、サード挑戦中の度会選手だが、2026シーズンについては外野メインの起用となるだろう。改めて外野陣を見ると、桑原将志選手がFAで退団し、2025シーズンにブレイクした蝦名達夫選手も絶対的な信頼を掴んでいるとは言えず、梶原昂希選手に期待しすぎるのも怖い。ヒュンメル選手は未知数。井上絢登選手や森敬斗選手も計算することができない。最悪の場合、外野守備力の低い佐野選手や筒香選手を両翼で起用する可能性すら排除できないレベルとなっているほどに、1軍外野陣は選手層が薄くなっている。
こんな状態であることから、2026シーズンについてはサードに入るよりも外野をメインとするほうが出場機会は得られそうだ。
上記3選手がいるので、小田選手・宮下選手・加藤選手の若手3選手については2軍で鍛錬となることが濃厚だ。もちろん、その序列に革命を起こしてくれるほどの成長を見せてくれるのであれば、それに越したことはない。(むしろ、それくらい伸びてくれるのを待っている)
(2027シーズン以降)
大きな動きが発生するとすれば、2027シーズンの「DH導入」だ。
2026シーズンの結果次第となるが、2027シーズンから2029シーズンまでのDH起用筆頭候補は筒香選手となりそうだ。
サード守備が下手ではないが、かといって上手いともいえない上、2027シーズン開幕時には35歳となっている年齢面も考えると、筒香選手を年間通してサードとして起用することは得策とは言えない。
そうなると、サードは必然的に空くことになるので、そのタイミングで本命となるのが度会選手であると予想している。また、小田選手・宮下選手・加藤選手の若手3選手が大きく成長できれば、度会選手とレギュラーを競うことになるだろうが、それも早くて2030シーズン頃からと予想。
(また、小田選手は前述したとおり、ファーストメインとなるのではないかとも予想)
そのため、2027シーズンから2030シーズンのサードについては、度会選手を軸としていくことになるだろう。
(2031シーズン以降)
度会選手が軸となる構図は、基本的には変わらないだろう。
ただ、度会選手と競える選手が出現してくれないと、チームとしては相当苦しい状態となる。
「大型内野手」として期待がかかる宮下選手や「長打も打てる内野手」として強化指定されている加藤選手の成長は必要不可欠だ。
この2人が度会選手を脅かすくらいになってくれないと、
〇度会選手への対抗者として小田選手をサードに回さざる得なくなる
〇予定外の外国人選手の獲得
このような事態になってしまうので、チームとして、宮下選手・加藤選手の育成に相当な力を入れてほしいところだ。
ということで、今回はベイスターズの内野コーナーポジション展望をしていった。
当然、ここに記載した想定どおりにいくとは思わないが、「ベイスターズ内野陣の将来はどうなるのか」ということに関心を向けるきっかけとなれれば、幸いである。
以上