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史上最高レベルの争いになる予感が漂うJ1昇格争い 2/2

前回からJ1昇格争いについて、今回は第11節終了時点で上位6チームに位置するチームに関しての

・ポジティブ要素

・ネガティブ要素

を記している。

 

(前回の記事がこちらです。)

kka2b-sportswokataritai.hatenablog.com

 

今回は4位ジュビロから6位ゼルビアまでについて記載することとする。

(なお、データは以下のリンクより拝借しております。)

www.football-lab.jp

www.football-lab.jp

 

ジュビロ磐田

・ポジティブ要素

1.圧倒的「ルキアン力」

ジュビロには多くのタレントがいることは百も承知。しかしその中でも最前線に位置するルキアン選手の能力の高さは1枚抜けている感じがある。分かっていても全く止められない空中戦の強さフィジカルの強さ。この選手が好調だった場合、複数得点は堅いだろう。

2.攻撃面での内容の良さ

第11節終了時のゴール期待値を見てみると、

攻撃面

ゴール期待値・・1.870点

1試合あたりのゴール数・・2点

ほぼ期待値と同じレベルの得点が生まれており、今の得点力が偶発的なものではないということがよくわかる。今後もこの得点力は期待できそうだ。

3.ボール支配率の高さ

平均ボール支配率は約55%とリーグ平均よりも高い。鈴木政一監督の目指すボールを支配するサッカーは実現できているといっていい。

・ネガティブ要素

1.守備力の低さ

12試合で18失点という数値が全てを物語っている。いくら序盤とはいえ、昇格を目指す上ではさすがに多すぎる。

期待値に比べると実際の失点がやや多いので、ここから改善される可能性も十分あるが、それでもやや不安な面は否めない。

2.得点パターンの偏り

ルキアン選手の空中戦の強さ、松本昌也選手のクロス精度の高さはもちろん素晴らしいが、その得点パターンにやや固執している感があるか。また、ルキアン選手以外のゴールも、サイドからのクロス→ヘディングが多い印象。もう少し中央突破からのゴールを増やしたいところか。

 

ヴァンフォーレ甲府

・ポジティブ要素

1.攻守両面で見せる安定感

第11節時点でのゴール期待値を見てみると、

攻撃面

ゴール期待値・・1.574点

1試合あたりのゴール数・・1.363点

守備面

被ゴール期待値・・0.9点

1試合あたりの被ゴール数・・1点

といったようなものになっている。攻撃の内容は良く、守備の内容もまた良いという状態である。

現状は、期待値に比べて得点は少なく、失点は多い。なので、ここからさらに成績が伸びてくる可能性が高い。

2.大卒ルーキー5人の大きな成長

ウイングバック関口正大選手シャドーストライカー長谷川元希選手、攻撃の切り札・鳥海芳樹選手の大卒ルーキー3人がチームでも重要な役割を担っており、ここまでも十分な活躍をしているが、ここからさらに成長していくことは間違いない。また、野澤陸選手須貝英大選手の2人も虎視眈々とレギュラー奪取を狙っているはず。ポジション争いの激化でチーム力向上を狙う。

3.新助っ人達のフィット間近

ついに実践デビューを果たしたウィリアン リラ選手パウロバイヤ選手。共に180センチを超える大型FWでスピードもある。ヴァンフォーレと言えば、強力な助っ人FWがチームを支えてきた。この2人にも大きな期待がかかっており、フィットすれば攻撃力はさらに増していくはずだ。

 

・ネガティブ要素

1.安定しているが故(?)の突き抜けなさ

チームとして安定しているのが長所と記載したが、裏を返すと、絶対的な強みを発揮できるところが少ないともいえる。バランスの取れた好チームであることは間違いないが、その中でも「これはどのチームよりも強い」というものを1つ持っていると、昇格争いではかなり有利に働くのだが...。

2.勝てる試合を取り切れない試合の多さ

開幕戦のジェフユナイテッド千葉戦、第7節のギラヴァンツ北九州戦、第8節の松本山雅FC戦、そして第12節のモンテディオ山形戦と「先行しながら勝ち切れない試合」がやや多い印象。先行した試合はやはり勝ち切っていきたいところだ。

 

FC町田ゼルビア

・ポジティブ要素

1.豊富なタレント揃う攻撃陣

鄭大世選手ドゥドゥ選手太田修介選手長谷川アーリアジャスール選手とここに記載した「今シーズン加入した選手」だけでも相当な戦力。加えて平戸太貴選手中島裕希選手吉尾海夏選手といった既存戦力も強力。スピードあり、空中戦あり、セットプレーあり。攻撃陣の個の能力だけであればJ2トップクラスだ。

2.3年前に経験した昇格争い

「上位2チームを巡る戦い」という意味で言えば、このゼルビアがもっとも最近に経験している。2018シーズンに躍進したゼルビアは終盤まで上位2チームを巡る戦いを繰り広げていた。この時の経験を武器に戦う選手は多い。どう活かせるかがカギとなりそう。

3.大物喰いの多さ

第2節ではジュビロ、第5節ではヴァンフォーレ、第8節ではV・ファーレン長崎、第9節では琉球。この4チームに勝っているという大物キラーっぷりは凄まじい。直接対決で叩ける力というのは昇格争いでは必要不可欠。「6ポイントゲーム」を制するチームが昇格争いを制するということを考えると、このチームは侮れない。

・ネガティブ要素

1.攻守ともにやや出来過ぎな面もある成績

第11節時点でのゴール期待値を見てみると、

攻撃面

ゴール期待値・・1.060点

1試合あたりのゴール数・・1.272点

守備面

被ゴール期待値・・1.172点

1試合あたりの被ゴール数・・1点

ともに期待値よりもいい成績が出ている。アルビレックス琉球ほどではないが、やや内容よりも良い成績が出ているところは否めない。結果が出ているうちに内容もしっかり修正していきたいところか。

2.佐野海舟選手の離脱

先日、チームの心臓・佐野海舟選手の離脱が発表された。全治8週間とのことで、試合復帰までは約3か月くらいはかかるイメージか。この間、当然ボランチは手薄になるので、ここをどう乗り切るのかが注目される。

 

 

今回は2回に分けて、J1昇格争いの中心になりそうな6チームについて記載していった。この6チーム以外にも巻き返しを図るチーム下克上を起こすべく立ち向かうチームが多くいるJ2。見逃せない展開は続きそうだ。

 

以上

史上最高レベルの争いになる予感が漂うJ1昇格争い 1/2

2021シーズンのJ2リーグは11節を終えた。

ここまでの上位陣の順位を観ていくと、このような状態。

1 アルビレックス新潟 

9勝2分0敗 勝点29 28得点7失点 得失点差+21

2 FC琉球

9勝1分1敗 勝点28 20得点7失点 得失点差+13

3 京都サンガF.C.

8勝1分2敗 勝点25 23得点10失点 得失点差+13

4 ジュビロ磐田

7勝0分4敗 勝点21 22得点18失点 得失点差+4

5 ヴァンフォーレ甲府

5勝3分3敗 勝点18 15得点10失点 得失点差+5

6 FC町田ゼルビア

5勝2分4敗 勝点17 14得点11失点 得失点差+3

 

こうして見てもなかなかにハイレベルな争いとなってきている。

特に上位3チームはすでに勝ち点25を超える凄まじさ。

11試合終了時点で3チームが勝ち点25を超えるというのは、J2が始まった1999年以降では初めてのこと。実に驚異的である。

さらに、ここには記載していないが、

個の力はJ2トップクラスのV・ファーレン長崎

息を吹き返し始めたモンテディオ山形松本山雅FC

堅守を誇るファジアーノ岡山ツエーゲン金沢栃木SC

攻撃力が魅力の水戸ホーリーホック

といったところが虎視眈々と巻き返しを図るという形になるだろう。

 

そんなJ1昇格争いについて、第11節終了時点で上位6チームに位置するチームに関しての

・ポジティブ要素

・ネガティブ要素

を今回から2回に分けて記していこうと思う。

(なお、データは以下のリンクより拝借しております。)

www.football-lab.jp

www.football-lab.jp

 

アルビレックス新潟

・ポジティブ要素

1.主力級が多く故障離脱している中での首位キープ

シーズン開幕時点でGK小島亨介選手DF長谷川巧選手MF福田晃斗選手が故障離脱していて、シーズンに入った後も、MFロメロフランク選手FW鈴木孝司選手も故障離脱となっている。

これだけ故障者が出ていれば、普通は失速するものだが、ここまで11試合を消化して、無敗を維持している。これは相当凄いことだと思う。

2.「スコアラー」の多さ

ここまで28得点を挙げている攻撃だが、得点をあげた選手は11人いる。これはJ2トップの数。どこからでも得点を奪えるのは、強力な武器となる。

3.サッカーの質の高さ

各方面から「強すぎる」「完成度が違う」と言われるほどに質の高いサッカーが展開されている。ボール支配率は60%超えでリーグ1位得点数リーグ最多失点数リーグ最少。お見事である。

 

・ネガティブ要素

1.苦手なスタイルが明確

ここまで11試合で2引き分けを喫しているが、引き分けた相手はSC相模原栃木SC。ともにハイプレスで前線から追いかけ回すスタイルだった。

ゴールキーパーセンターバックボランチといったセンターラインからのビルドアップが生命線のアルビレックスを抑えるには、このスタイルが一番だろう。

2.少し出来過ぎな結果

実はデータで見ると、今の結果は少し出来過ぎなところはある。

「ゴール期待値」(「あるシュートチャンスが得点に結びつく確率」を0~1の範囲で表した指標)と1試合あたりのゴール平均数との差を見てみると、

攻撃面

ゴール期待値・・1.422点

1試合あたりのゴール数・・2.545点

守備面

被ゴール期待値・・0.996点

1試合あたりの被ゴール数・・0.6363点

 

今後、疲労や対戦相手の対策次第では成績が落ち込んでいく可能性も無くはないか。あくまでもデータなので、必ずしも失速するとは限らないし、(私がアルビレックスサポーターなので)そうなって欲しくないが、ここまで大きく離れているというのもやや不安ではある。

 

FC琉球

・ポジティブ要素

1.強豪相手にも通用した自信

開幕戦ではジュビロ、第4節ではV・ファーレン、第10節ではヴァンフォーレと強豪を次々と撃破している。いずれもホームの利を活かしたということもあるが、なかなか勝てるチームではない。

2.過去のデータを覆す驚異の勝負強さ

第5節のジェフユナイテッド千葉戦、第10節のヴァンフォーレ戦と、過去に勝利の無かったカードでいずれも勝利を収めたことは、チームに相当な自信につながることだろう。特にジェフ戦は過去4試合で得点すら奪えていなかった相手にもかかわらず、アウェーで勝利、しかも72分に先制を許してからの逆転勝利という離れ業。この強さは本物といっていいだろう。

3.高い攻撃力

11試合で20得点、しかも「ゴール期待値」と比べてもそこまで大きく離れていないところを見ると、今後も今くらいの攻撃力は期待できそうだ。

 

・ネガティブ要素

 1.J1クラブからの引き抜きを防げるか

FC琉球といえば、2019シーズンにも開幕4連勝するなど、スタートダッシュに成功した経験があった。しかしそのシーズンの途中にエースFWだった鈴木孝司選手セレッソ大阪へ移籍するなどしている。今のチームにも田口潤人選手池田廉選手といった若手有望株がいる。

上位6クラブの中では最も財政が厳しいと予測されるのがこの琉球。やはりここは心配の種か。

2.あまりにも出来過ぎな守備陣

アルビレックスの時にも紹介した、「ゴール期待値との差」。この琉球もまた守備面では相当な数値の差が出ている。

被ゴール期待値・・1.380点

1試合あたりの被ゴール数・・0.6363点

 

田口潤人選手が好セーブを連発しているというのもあり、失点を防いでいるが、期待値的にはいつ守備が崩壊してもおかしくはないという見方もできる。守備の仕方は改善の余地ありだ。

 

京都サンガF.C.

・ポジティブ要素

1.圧倒的な個の能力

前線のピーター・ウタカ選手宮吉拓実選手、中盤の松田天馬選手川崎颯太選手福岡慎平選手、最終ラインのヨルディバイス選手原拓也選手飯田貴敬選手。なぜこのチームがJ2に居るのか理解ができない。それくらい個の能力に長けた選手達が揃っている。

2.ゴール期待値と差異が少ない実績

ここまでの成績とゴール期待値は以下のとおり

攻撃面

ゴール期待値・・2.027点

1試合あたりのゴール数・・2.091点

守備面

被ゴール期待値・・0.985点

1試合あたりの被ゴール数・・0.9091点

 

攻守のクオリティ・内容と実績がしっかりリンクしているのがわかる。ここから調子が大きく落ちることもなさそうだ。

3.チョウキジェ監督の存在

J1昇格3回(しかもJ1昇格失敗経験なし)の実績を誇るチョウキジェ監督の存在は大きい。この監督が率いている時点で、大崩れは考えにくい。少なくとも、内部分裂が起きるでもない限りは複数連敗をする様子が見られない。

 

・ネガティブ要素

 1.時折みられる不用意な失点

第5節のブラウブリッツ秋田戦で許した失点や、第11節の愛媛FC戦の1失点目のような、たまにある「エアポケット」のような失点が多少気になるといったところか。とはいえ、他のチームでもこうした失点は見られるので、そこまで大きな問題とはならないか。

2.チョウキジェサッカーによる助っ人2人の疲弊度

これも特筆するほどではないとは思うが、チョウキジェ監督の目指すサッカーのスタイルはどうしても疲弊度も大きい。最前線のピーター・ウタカ選手も前線から守備を怠らないように求める形なので、確実にチームは強くなるが、その代償として疲弊度も大きい。

ピーター・ウタカ選手37歳、守備の要であるヨルディバイス選手32歳と助っ人勢は結構な高齢でもあるので、ここがどれだけ乗り切れるかがカギになりそうだ。

(2人ともパフォーマンスが落ちないようであれば、一気に独走態勢突入もある。)

 

 

今回はここまで。次回は4位ジュビロ・5位ヴァンフォーレ・6位ゼルビアについて記載していくこととする。

 

以上

「俺たちもいる」居残り組にある意地とプライドが新潟を強くする

第8節、難敵・ツエーゲン金沢はまさに『激闘』だった。

ボールを保持し、ゲームを支配していこうとする新潟

堅牢な守備を軸に新潟の攻撃を機能させず、一瞬で裏をとるカウンターで得点を狙う金沢

お互いの持ち味・やりたいことを出す好勝負

金沢を率いるのは、ジュビロ磐田天皇杯優勝(2003年)、ナビスコカップ優勝(2010年)をもたらし、当時J2でも中堅だったコンサドーレ札幌天皇杯ベスト4(2006年)に導き、2012年途中~2015年にかけて新潟を率い、奇跡の残留劇(2012年)、クラブ初のナビスコカップベスト4(2015年)に導いた実績もある名将・柳下正明監督

さすがの分析力、指導力いったところだ。相変わらずの名将ぶり。

過去の対戦成績(過去6試合ではお互いに点を取る試合展開で、お互いに完封されたことがない)を鑑みて、点取り合戦となると予想していたが、それに反して「1点が遠い試合展開」となる。

 

0-0で迎えた65分、新潟にアクシデントが発生する。右サイドでフィジカルの強さを活かしたプレーを見せ、金沢守備陣にとって脅威となっていたロメロフランク選手が脚を痛めて途中交代となる。そこに投入されたのは背番号39・矢村健選手だった。

 

矢村選手市立船橋高校を経て新潟医療福祉大学へ進学。

・大学2年から4年まで3年連続北信越大学サッカーリーグ1部MVP

・大学3年次、北信越大学サッカーリーグ1部で得点王

などの活躍を見せて、昨シーズン、新潟に加入。(大学時代の実績から愛称は「キングケン」

その昨シーズンは、ルーキーながら19試合に出場。第31節・モンテディオ山形では抜け目ない動きで相手守備陣の裏をとり、プロ初ゴールを奪った。

「攻撃陣の主力が多く抜けた今年、2年目を迎える矢村選手が躍動してくれる」と思っていた方も少なくないはず。

しかし今シーズンは苦しんでいた。開幕から3試合ではベンチ入りするも、リードを奪う試合展開との兼ね合いもあって出場機会に恵まれず。さらに右足首のケガから、ベンチ入りもできない展開となってしまう。

本職である最前線には鈴木孝司選手谷口海斗選手といった実績のある選手たちがアルベルト監督の信頼を掴み、定位置を奪取するのは容易ではない。

加えて、第3節・レノファ山口では星雄次選手、第5節・東京ヴェルディでは三戸舜介選手といったサイドハーフの選手がゴールを決めてアピールをする。焦りはあったはずだ。

 

そんな中、鈴木孝司選手が「多少違和感があったので」(アルベルト監督談)で欠場。加えてロメロフランク選手が途中交代。アクシデントとはいえ、訪れた今シーズン初出場のチャンス。ここを活かせるか、今後のキャリアを占うと言っても過言ではなかった。

 

迎えた77分。集中力を切らさず守っていた金沢守備陣が一瞬だけ見せた「スキ」を本間至恩選手が逃さない。センターサークル付近に転がったルーズボールにいち早く反応し、1人を交わす。最終ラインの裏に絶妙なポジショニングとタイミングで抜け出した矢村選手へパスを出す。しっかりとシュートを撃てる場所へコントロールすると、放たれたシュートは、背後から迫りくる庄司朋乃也選手の足と191センチの長身と長い手脚を活かしたセーブを見せる後藤雅明選手の腕を潜り抜け、ゴールに吸い込まれた。

 

この1点が決勝点となり、新潟は1-0で勝利を収める。今シーズンのJ2の中でも屈指の好勝負を制して、首位を堅持した。

 

試合後の取材で矢村選手は次のように語っている。

「これから先長い戦いなので、ケガだったり、いろんな選手のコンディションもある。そういう中で、試合に出られてない立場の選手がいかにチームの底上げをできるかが大事になるので、引き続き、今日は今日と切り替えて、次の練習から臨んでいきたいと思います。」

 

開幕から8戦無敗と好調なチーム。その状況下ではなかなかメンバーを代えにくいところがある。そうなれば、出場機会に恵まれていない選手も存在する。しかしその中でもモチベーションを切らさずに自己研鑽を続ける選手たちが新潟にはいる。苦闘を続けていた矢村選手の活躍がチームをさらに飛躍させるはずだ。

 

「居残り組」の意地とプライドがチームを強くする。

 

 

以上