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アルビレックス強化部はもっと評価されるべきだ

「チーム強化」というのは、本当に難しい。

 

20年以上にわたってサッカーを見てきて、毎年のように思うことである。

 

あくまでも私の主観だが、多くの人は

「ビッグネームを獲れ」

「金を使って選手を連れてこい」

「いい選手が多く居て困ることは無いんだから、獲りまくれ」

と言っている印象である。

 

しかし、

○ビッグネームを数多く揃えている。

○前年の好成績、そこからの継続性もある

などの理由で、前評判も上々。上位進出はもちろん、優勝候補として挙げられながら、シーズン序盤からズッコケて、まさかの降格なんてチームも数多く見てきた。

(例→2005年 ヴェルディ、2010年 FC東京、2012年 ヴィッセルガンバ、2014年 セレッソ、2018年 レイソル)

 

「ビッグネームを獲れば強くなる」「前のシーズンが良かったから、今シーズンも良いはず」というのは、決してアテにならないということである。

 

 

さて、ここからが今回の本題。アルビレックスの強化についてである。

今シーズンのアルビレックスの補強にはかなり否定的な声が聞こえてきていた。というのも、今シーズンから加入してきた選手たちのメンツが以下のとおりであったためである。

DF 新井直人選手

MF ダニーロ・ゴメス選手

FW 太田修介選手

FW グスタボ・ネスカウ選手

FW 長倉幹樹選手(夏に加入)

 

これで全選手である。「主な選手」ではない。繰り返すが、本当に5人で終了している。

「継続路線」

「超ピンポイント補強」

「既存の若手選手の成長を促す」

ということを色濃く出したということだろう。

 

とはいえ、シーズン開幕前に4人、夏加入を含めても5人のみというのは過去のJ1昇格組を見ても類を見ない少なさである。同じJ1昇格組の横浜FC19人の新加入選手を獲得していたということを考えれば、いかに少ないかがよく分かるというものだ。

さらに言えば、太田選手と長倉選手はJ1経験は無し。新井選手はセレッソに在籍していたが、リーグ戦はわずか6試合のみ出場で、J1の強度に適応できるかが不透明な状況だった。

 

昨シーズンJ2を制したメンバーがほぼ残留したとはいえ、J1経験が少ない選手ばかり「本当に戦えるのか?」という不安が多く出るのも無理はないところだっただろう。

 

しかし、今シーズンを11勝12分11敗の勝ち点45、10位、最終盤9試合に関しては4勝5分無敗というJ1復帰1年目としては上出来の結果で終えることに。

強化部の選択が正しかったことを証明した。

 

獲得した選手では

太田選手

ケガで19試合出場に留まったが、その中でも5ゴール(チーム内2位)と2アシストの活躍。

新井選手

24試合出場し、左右のサイドバックをこなしながら、今シーズン怪我がちだった堀米悠斗キャプテンの不在を感じさせない活躍。さらに3ゴールを決める攻撃面での貢献も見逃せない。シーズン終盤には彼無しのアルビレックスは考えられなくなるレベルに。

長倉選手

夏からの加入でありながら、いきなりチームにフィット。

加入してすぐに高い技術を見せつけてサポーターの心をあっさりと掴んでみせると、最終節のセレッソ戦では見事な決勝ゴールを決め、2024シーズンでの大活躍を予感させた。NEXTブレイクプレーヤー候補といって差し支えない。

 

と、活躍してみせた。ダニーロ選手とネスカウ選手についても本領発揮とはいかなかったが、持っている能力の高さは随所に出していた。

シーズン通して、「強化部の見る目の高さ」をまざまざと見せつけた

 

 

 

強化部の素晴らしい仕事ぶりは今年だけではない

 

このことは、以下の2つの点でも表れている

 

①チーム作りの上手さ

寺川能人強化部長が就任した2020年11月以降に加入が決まった主な選手が以下のとおりである。

2021シーズン

DF 千葉和彦選手藤原奏哉選手長谷川巧選手(レンタル移籍から復帰)

MF 高宇洋選手星雄次選手島田譲選手(レンタル移籍からの買い取り)

FW 谷口海斗選手鈴木孝司選手

※三戸舜介選手と小見洋太選手は2020年9月に加入決定。

2022シーズン

GK 小島亨介選手(レンタル移籍からの買い取り)

DF トーマス・デン選手渡邊泰基選手(レンタル移籍からの復帰)

MF 伊藤涼太郎選手松田詠太郎選手秋山裕紀選手(レンタル移籍からの復帰)

2023シーズン

DF 新井直人選手

FW 太田修介選手長倉幹樹選手

 

これを見てわかるとおり、「ビッグネーム」はほぼ獲得ゼロ

しかしその中で、現在のチームの核となる選手たちを次々と獲得、呼び戻しをしてみせている

また、補強面だけでなく、上記の伊藤選手、生え抜きの本間至恩選手、三戸舜介選手といった若きタレント3人を海外移籍させるなど、若手選手の育成面でも成功を収めていることからもチーム作りの上手さはわかる。

 

②「適正な選手数」の管理

最低でも年間40試合以上を戦うJリーグチームにおける「適切な選手数」

GK:4人

DF:8~10人

MF:10~13人

FW:5~7人

全体:27~34人

の範囲であると考えている。(あくまでも個人的な見解だが)

 

そんな中、アルビレックスの直近3シーズンの選手人数(2種登録、特別指定は除く)は以下のとおり。

2021シーズン 28人(GK4人、DF8人、MF10人、FW6人

2022シーズン 29人(GK4人、DF8人、MF12人、FW5人

2023シーズン 30人(GK4人、DF9人、MF11人、FW6人

このように、「適正な人数」をキープしている印象である。

 

 

「選手が少なすぎること」については、

○ケガ人や感染症といった「非常事態」への対応力低下

○シーズン中の戦術修正への対応力低下

○メンバーの固定化による競争力低下

を筆頭に、よろしくないことが多いのは明白である。実際に否定的な意見が多いので、ここでは割愛させていただく。

 

一方で、「選手が多すぎること」については肯定的な声が多い印象だ

冒頭にも記載したとおり、「いい選手はいくら多くてもいい。多ければ多いほど困らない」という声をよく聞く。

 

しかし、それは違うと個人的には思っている

選手が多ければ、競争力は間違いなく上がる

人が多ければ多いほど、「スタメン11人、ベンチを含めても18人の枠」に入るハードルが上がるので、それは当然である。

また、練習のレベルもそれなりに上がってくるだろうし、非常時や戦術修正への対応力も上がるはずだ。

 

しかしその一方で、チーム内で行う紅白戦にも参加できない選手が増えること」が懸念される。こうなってしまうと、以下のことが想定される。

 

紅白戦にも参加できない選手が増える

→紅白戦に参加できなくなることでモチベーション低下する選手も比例して増える

→モチベーション低下、フラストレーションを抱えた選手が不満分子に変化する

→チーム内に悪影響を与える行動をとる選手が出てくる可能性も高まる。

→首脳陣によるチームマネジメントが格段に難しくなる

→空中分解の可能性が格段に上昇する

 

まさしく「負のスパイラル」である。上記したメリットも全て覆してしまいかねない。

 

「プロなんだから」、「自分を見直す期間にすればいい」という声が聞こえてきそうだが、選手たちも「プロ選手」である以前に「一人間」であるということを忘れてはいけない

「試合に出れません、紅白戦も参加できません」の中でモチベーションを高く維持して、苦しいトレーニングを日々続けることはかなり難しいことである。言葉ほど簡単なことではないはずだ。

 

また、「全員戦力」を掲げる松橋力蔵監督率いる現在のアルビレックスにおいては、「適正な人数をキープすること」は非常に重要なことである。

 

・選手のモチベーション管理の面

・「全員戦力」を掲げるチーム方針遂行の面

・それでいて、高い競争力を維持しつつ、リスク管理にも備える面

この「3つの面」全てを実現させ続けているチーム強化術は相当素晴らしい。

 

 

ビッグネームを乱獲しなくても、選手を多く獲得しなくても、魅力的な攻撃サッカーを展開し、チームを確実に強化させ続けているアルビレックス強化部

もっと評価されるべきである。

 

 

以上