前回はベイスターズ投手陣の展望を書いたが、今日は野手陣の展望を書いていくことにする。
投手陣の展望は以下のリンクのとおりです。(良かったらご覧ください。)
kka2b-sportswokataritai.hatenablog.com
捕手
正捕手 → 伊藤 光選手
対抗 → 嶺井選手 戸柱選手 山本選手
育成 → 益子選手 東妻選手
濵口投手限定 → 高城選手
まずは捕手陣から
正捕手は伊藤 光選手だろう。2019シーズンに離脱した期間があったが、その期間のチーム成績はやはり下降した。伊藤選手の存在感が投手陣に与える影響力は高く、その力はチーム内ではずば抜けている。また、打撃面を見ても他の選手を大きく上回っており、怪我がない限りは正捕手起用は確定的と言っていいだろう。ただし、コンディション的な問題で週に1回は休養日を設けて起用して欲しい選手だ。
対抗には嶺井選手・戸柱選手・山本選手の3人を予想。
この中で嶺井選手は今年で29歳、戸柱選手は今年で30歳と年齢的にはもう若くない選手達。2人とも、
・「打率2割1分~2分くらい」の打撃力
・大きくアドバンテージが取れるかと言われると何とも言えない守備力
な上、年齢的にも今からの打撃面・守備面共に大きな成長が期待できる選手ではないかなと・・・。
なので、正捕手の座を狙っていくというよりは、伊藤選手が怪我や不調に陥った時にスタメン起用される「2番手の座」を狙っていくことになるのが現実的なところ。
嶺井選手は印象に残る一打(2014シーズンのサヨナラ打や2016シーズンCS1stシリーズの決勝打、2019シーズンの10連敗脱出に貢献したタイムリーなど)を生み出した勝負強さ。戸柱選手には2016・17シーズンと2シーズン正捕手を務めた経験値とそれぞれに武器はあるので、どちらが2番手争いの先頭を走るのかが注目だ。
一方、一気に正捕手の座を脅かせる選手が居るとすれば山本選手だろう。今年でまだ22歳だが、プロ初打席でプロ初ホームランを放ったり、2019シーズンにもサヨナラタイムリーを放つなど、勝負強さはすでに実証済み。肩の強さもチームトップクラスで、フィジカル面ではかなりいいものを持っている。本格的な捕手としての経験値が他の選手と比べても少ないことから、経験を積ませるために積極的に起用される可能性は十分にある。
益子選手と東妻選手の2人は今年から2・3年間は2軍を中心に実践の経験を積んでいくことになるだろう。将来の正捕手候補として英才教育を施していきたい。
高城選手はチェンジアップが武器の濵口投手とのコンビで出場はありそうだが、は他の投手の時にはどうかと言われると難しいところ。打撃開眼でもすれば別だが、そうでない場合は「濵口専用機」としての立場になる事が濃厚だ。
本命 → ソト選手
対抗 → ロペス選手 オースティン選手
控えから → 中井選手
続いて一塁手。
ロペス選手一択だった昨シーズンとは様相が大きく変わってきている。筒香選手の後釜としてオースティン選手が加入したことに加え、ロペス選手の年齢による攻守での衰えが目立つようになり、4枠の外国人枠の活用に多大な影響を与えるためだ。
現在考えられるプランは主に4つ。
①一塁 ソト選手 左翼or右翼 オースティン選手
②一塁 ロペス選手 左翼or右翼 オースティン選手
③一塁 ロペス選手 左翼or右翼 ソト選手
④一塁 ロペス選手 左翼 オースティン選手 右翼 ソト選手の3人揃い踏み
なお、「一塁 オースティン選手・外野 ソト選手」のパターンについては、後述するとおり、守備面でのメリットがなさそうなので、ここでは考えないことにする。
現在最も有力視されているのは、昨シーズン本塁打・打点の二冠だが、守備では二塁と外野で足を引っ張る形が多かったソト選手を本職である一塁に就かせて、オースティン選手を左翼または右翼に就かせることで、全体的な守備力を向上させながら、攻撃力のダウン幅を少なくするプランの①だ。ちなみに、オースティン選手は外野の守備力は水準程度はあるとのことなので、一塁で使うよりは外野で使う方がよさそうだ。
②はソト選手を外すことの打線の弱体化を考えると、とても採用されにくい。また、③は1億円を費やした上、筒香選手の後釜で獲得したオースティン選手を起用しないことになるため、これも考えにくい。②と③はソト選手やオースティン選手に不測の事態が起きた場合のみだろう。
④は外国人選手枠の関係上、あまり採用されることはなさそうだが、エスコバー投手が離脱するであろう開幕直後であれば、あり得そうだ。ただしソト選手を外野で使うことになるため、守備力に関してはそれ相応の覚悟を持っていた方がよさそうだ。
中井選手については、守備固めとしての側面が大きい。少なくとも、3人を押しのけてスタメンで起用されることはないだろう。
本命 → 柴田選手
対抗 → 大和選手 伊藤 裕季也選手
好調時限定 → 中井選手
頼れるベテラン → 石川選手
二塁手編。
柴田選手がレギュラー最有力だろう。守備力はチームトップクラスな上、昨シーズン後半から打撃面での成長が目覚ましい。彼が二塁手として1年間通して出場できればかなりの守備力向上が期待できる。問題があるとすれば、1年間レギュラーとして出場したことが無いため、スタミナ面がかなり心配だという点だろう。
大和選手は遊撃手のレギュラー最有力だが、場合によっては二塁手で出場する可能性もありそうだ。少なくとも守備面ではかなりのクオリティーが期待できるので、「二塁・大和選手」で期待の若手が多い遊撃手に起用のバリエーションを増やすことはあり得そうだ。
伊藤 裕季也選手は打撃力(長打力)では間違いなく二塁手候補トップだろう。ただし守備面に大きな問題を抱えており、伊藤選手を起用するならソト選手を二塁で起用していた昨シーズンと大差ないかと思われるので、二塁手としてレギュラーになるのはなかなかに厳しいか。あるとすれば、柴田選手または大和選手が打撃不振になった場合だろう。
中井選手は、好調時に起用するのがベストか。少なくとも、1年間通じてレギュラーとして出場するかと言われるとかなり厳しいし、一塁・二塁・三塁をこなすユーティリティープレーヤーとして起用したいタイプの選手だ。
石川選手は、頼れるベテラン枠だ。昨シーズンの10連敗を止めた試合での活躍ぶりを見ると、この選手の存在意義は大きい。1人のプレーヤーとしてはもちろんのこと、チームが不調に陥った時の精神的支柱としての活躍を期待したい。
本命 → 宮﨑選手
対抗 → 伊藤 裕季也選手
控えから → 中井選手 知野選手
三塁手の展望。
当然だが、本命は宮﨑選手。
昨シーズンは4月に大きなスランプがあったり、8月の骨折があったりした影響で、3年連続3割とはならなかった。しかしながら、5月以降に限れば.321としっかりと結果を残した、ベイスターズ屈指のヒットメーカー。守備範囲の狭まりはやや気になるが、あれだけのバッティングを見せられれば、それくらいは目を瞑ると言うもの。今シーズンもこの人の天才的なバッティングを見せていって欲しいところ。
対抗には伊藤裕季也選手を予想。長打力は申し分なく、宮﨑選手の後継者候補の筆頭であることは間違いない。守備も二塁に比べれば慣れている三塁なので、破綻する可能性も低いはず。宮﨑選手の壁は大きいが、30本も期待できる豪快なスイングはやはり魅力的だし、球団としても「和製大砲・筒香嘉智の後継者」として相当期待しているはず。
中井選手や知野選手はレギュラーというよりは、基本的にはバックアッパーとしてチームを支えていく形が濃厚か。中井選手は一塁・二塁・三塁を守ることができるので、主力を支えるユーティリティープレーヤーとして。知野選手は三塁・遊撃・代走などからで出番を伺っていく形か。ただし、知野選手は今年で22歳と若く、能力開花から一気にレギュラー争いに名乗りを上げる可能性もある。
遊撃手
本命 → 大和選手
対抗 → 柴田選手
大穴 → 倉本選手 知野選手 百瀬選手
育成から → 森選手 田部選手
遊撃手争いは、守備力と実績を考えれば大和選手が本命だろう。あの守備力を考えると、よほどのことがない限りはなかなか外せないだろう。お世辞にも内野を守る選手たちの守備範囲が広いとは言えないベイスターズにとっては、この選手の存在は特に大きい。
柴田選手は大和選手が不振になったり怪我をした場合に遊撃を守ることになるだろうと考え、今回は対抗として挙げた。実際、大和選手に不測の事態が起きたときに、(特に守備面で)遊撃を任せられるの柴田選手くらいとも言える。
3年前まではレギュラーだった倉本選手。しかし、この2年で評価はかなり下がっている。守備力はお世辞にも高いとは言えず、武器の打撃力もこの2年は本来の出来を見せられていない。もし今年もこの2年と同様、それ以下の場合はトレードで出されてしまうこともあり得る立場にいる。遊撃で勝負する以上、大和選手と柴田選手という壁と戦うことになるわけだが、この2人を上回る打撃力を開幕から見せて行って欲しい。
知野選手と百瀬選手についてはまずは守備固めや代走といったところからチャンスを得たいところだろう。2人とも内野の様々なポジションをこなせるユーティリティー性も備えているので、首脳陣としては使い勝手が良いはずだ。
知野選手は脚とパンチのある打撃、百瀬選手は脚と守備力の高さという武器を持っている。加えて、知野選手は今年で22歳、百瀬選手も今年で23歳と若い選手達であるので、一気に飛躍する可能性を秘めている。
森選手と田部選手については、今年1年は2軍で実戦を積むことからだろう。ただ、森選手は1軍にいても通用するだけの脚とミート力を見せている。田部選手も先日の練習試合で1軍で実績のある投手からホームランを放つなど、スケールの大きさを遺憾なく発揮している。成長スピード次第では、1軍デビューもあるかもしれない。
外野手
当確 → オースティン選手
有力 → 神里選手 佐野選手
競争 → 梶谷選手 楠本選手 桑原選手 乙坂選手 関根選手 細川選手
ダークホース → 蝦名選手
外野のレギュラー争いは混戦中の混戦。
1億円という年俸、筒香選手の後釜という立場、名門ヤンキースのメガプロスペクトでもあった経歴を持つオースティン選手はもう確定だろう。実際、オープン戦では格の違いを見せている。外野守備も悪くないので、おそらく右翼手で落ち着くのではないだろうか。
問題は他の2枠は誰になるのかということ。神里選手が「1番・中堅手」として昨年に続いてのレギュラーを狙っているが、2014年盗塁王・梶谷選手が今年はオープン戦から好調をキープしている。長打力や盗塁能力については神里選手を上回っている。桑原選手や乙坂選手といった選手達も「1番・中堅手」のポジションを狙っている。
左翼手では、新主将である佐野選手が中心と予想されているが、オープン戦を見る限り、レギュラーが安泰ということでもなくなってきた。まだ開幕2週間前とは言え、本来の打撃力が影を潜めているのはかなり気になる。ラミレス監督が「怪我など無ければ開幕4番にする」と期待されている佐野選手だが、はたして。
一方、昨年の開幕スタメン出場者でもある楠本選手はオープン戦でホームランを放つなどアピールを続けている。ウィンターリーグで活躍し、期待が高まる俊足巧打の7年目・関根選手もいる。未来の4番候補・圧倒的な長打力を武器にする細川選手も昨年2軍で一気に数字を伸ばしている。そろそろ1軍で花開くということもあり得るのではないかと思っている。
そして、このポジションのダークホース枠には蝦名選手を予想。2019年ドラフト6位の選手だが、蝦名選手の出身校である青森大が所属している北東北大学リーグでは屈指の強打者だった。ちなみにこの北東北大学リーグというのは、「山賊打線」の異名を持つライオンズでも活躍した秋山選手(現シンシナティ・レッズ)や現在進行形でライオンズの4番を打つ山川選手、不動のレギュラーの外崎選手がかつて所属していたリーグ。(秋山選手は八戸大学出身、山川選手・外崎選手は富士大学出身)
そのリーグで残したキャリアハイの成績は秋山選手、山川選手、外崎選手を上回る成績だった。
参考
蝦名選手→1.329
秋山選手→1.224
山川選手→1.078
外崎選手→1.279
OPSは1.0を超えれば超一流と言われる指標だが、蝦名選手は1.329という凄まじい数値である。このデータだけでも、期待してしまうというもの。加えて、脚の速さや肩の強さなど定評があり、走攻守を備えた近未来の「3番・ライト」候補と言っていいだろう。残念ながら、キャンプ中に左手薬指を骨折してしまったが、回復してから一気に巻き返してくると予想。1年目から1軍に加わってくる可能性も大いにあるとみている。
長々と野手陣を展望してみた。「主将」・「4番」・「ベイスターズの象徴」を担った「筒香嘉智」という大看板がチームを去り、戦力ダウンが懸念されたベイスターズ野手陣。しかし、その穴を埋める、いや、補って余りあるほどの力を持った若い選手達が揃っている。
期待して開幕を待ちたいところだ。
以上