さて、今回はJ1編最終回。14位から20位まで書いていきます。
なお、これまでの記事は以下のリンクのとおりです。
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14位 ベガルタ仙台(2020年成績 6勝10分18敗 勝ち点28 17位)
成績不振に経営難。逆風吹き荒れる2020シーズンを過ごしたベガルタ。しかしこのオフは主力を放出しながらも、「戦力以上の結果を出すこと」に関して定評のある手倉森誠監督が8年ぶりに復帰し、要所に即戦力を獲得してまとめてきた。
柳貴博選手や飯尾竜太朗選手が抜けた守備陣には、流通経済大から191センチの大型センターバック、アピアタウィア久選手とグランパスから左サイドバックでの起用が予想される秋山陽介選手を獲得。2020シーズンは半休した吉野恭平選手、シマオマテ選手のフル稼働にも期待。
椎橋慧也選手、浜崎拓磨選手が移籍したボランチにはジュビロから上原力也選手を獲得。2020シーズンはシーズン半休した松下佳貴選手や全休した富田晋伍選手の完全復活にも期待がかかる。若手有望株の佐々木匠選手や田中渉選手の成長にも注目。
攻撃的MF陣は激戦区。レッズからマルティノス選手を獲得をすると、V・ファーレンから氣田亮真選手も獲得。さらに、阪南大の真瀬拓海選手、流通経済大の加藤千尋選手も獲得。2020シーズンは半休したクエンカ選手の復活が実現すると、かなり層の厚いアタッカー陣が完成する。
前線は、チーム得点王・長沢駿選手がトリニータへ移籍、5得点のゲデス選手も退団した。その穴を埋めるべく、横浜FCからポストプレーヤー・皆川佑介選手を獲得した。さらにガーナ人FW・オッティ選手も獲得。既存の赤崎秀平選手や西村拓真選手とともにFW陣を形成し、2列目の選手とのコンビネーションで得点増を狙う。
個性的で、「タテへの推進力を持った選手」が増えた印象の2021シーズンのベガルタ。まずは「J1残留」を目指しながら、あわよくば「中位・上位進出へ」の1年となりそうだ。
15位 柏レイソル(2020年成績 15勝7分12敗 勝ち点52 7位)
2020シーズンはJ1復帰1年目から7位に。今年はさらに上位を目指したいところ。
移籍市場を見ていくと、守備陣・中盤は主力の流出がほぼ無し。
中村航輔選手や桐畑和繁選手が移籍したゴールキーパーにもキムスンギュ選手がいる。2ndキーパーが出場経験の浅い滝本晴彦選手になりそうなのは、やや不安ではあるが・・。
センターバックには、アビスパで大活躍した上島拓巳選手を復帰させた。古賀太陽選手や大南拓磨選手、高橋祐治選手、山下達也選手と質・量共にそろっている所に上島選手の復帰は大きい。
中盤にはボランチの椎橋慧也選手をベガルタから、サイドハーフのイッペイ・シノヅカ選手をアルディージャから加入させた。ここもスケールアップしたとみていいだろう。新加入のドッジ選手が来日が遅れて、合流もかなり遅くなりそうだが、既存選手達だけでも十分対応可能だ。
ところが前線は大問題が生じた。28得点・JリーグMVPのオルンガ選手が移籍してしまうと、185センチの新加入選手・アンジェロッティ選手も来日できず。他の外国人選手の獲得を目指すも、まだまとまっておらず、既存戦力でオルンガ選手の穴を埋める必要が出てきてしまったのだ。呉屋大翔選手やクリスティアーノ選手あたりが1トップのポジションを当面は埋めなければならないことになるだろう。
中盤・守備陣は全く問題ない。問題は最前線だ。60得点中28得点を決めた規格外ストライカー・オルンガ選手の穴を埋めることはできるだろうか。
16位 サガン鳥栖(2020年成績 7勝15分12敗 勝ち点36 13位)
J1昇格10年目を迎えたサガン。財政が厳しく、先日には社長の交代もあったが、一枚岩でまずは残留を目指すことになりそうだ。
右サイドバックの森下龍矢選手がグランパスへ移籍したが、中央大から今掛航貴選手を獲得。原輝綺選手が移籍したセンターバックには、エスパルスからファンソッコ選手を獲得し、J2屈指の堅守を誇った栃木SCから田代雅也選手を獲得した。エドゥアルド選手もや中央大から加入した松本大輔選手も含めて、高さという面では2020シーズンよりも上だ。
中盤は原川力選手がセレッソへ移籍。他の主力勢は残留し、トリニータから島川俊郎選手、ザスパクサツから将来性豊かな快足アタッカー・飯野七聖選手やサンガから攻撃的MFの仙頭啓矢選手を獲得したが、攻守両面で大きな貢献を果たせる原川選手の穴はさすがに大きいとみている。
前線は、林大地選手、石井快征選手という新進気鋭の若手コンビが揃って残留し、ジェフから長身で機動力も備えた山下敬大選手を獲得。さらに長身のケニア人FW、イスマエル・ドゥンガ選手と小回りの利くナイジェリア人FW、チコ・オフォエドゥ選手を獲得した。ただし、助っ人2人は来日できていない状況。前線のレベル自体は2020シーズンと同様くらいか。
センターラインの流出もあって、16位予想としてはいるが、若手有望株はかなり多い。守備陣には前述した中央大コンビに加え、大畑歩夢選手がいる。中盤には「新10番」の樋口雄太選手やサガンユースからの生え抜きである本田風智選手、松岡大起選手がすでにチームの軸となり、2021シーズンからは相良竜之介選手も正式昇格した。
サガンユースが着実に力をつけていることから考えると、3~5年かけてJ1優勝争いができるチームになれれば理想的だ。このチームの「育成力」に注目だ。
17位 大分トリニータ(2020年成績 11勝10分13敗 勝ち点43 11位)
2年連続で中位進出。片野坂知宏監督の下で躍進を続けているトリニータだが、このオフはその代償を払うことになった。
守備陣では、岩田智輝選手がマリノスへ、鈴木義宜選手はエスパルスへそれぞれ移籍。ベルマーレから坂圭佑選手を、サンガから上夷克典選手を獲得したが、単純な戦力値としてはややダウンか。
中盤ではウイングバックやシャドーストライカーを務めていた田中達也選手がレッズへ、ボランチの島川俊郎選手がサガンへ移籍。小塚和季選手もフロンターレへ移籍。小塚選手は2020シーズンこそ出番に恵まれなかったとはいえ、違いを生み出せるパサーがいなくなるという意味では痛い移籍だ。ギラヴァンツから福森健太選手、栃木SCから黒崎隼人選手と言うウイングバック候補を獲得し、ボランチにはフロンターレから下田北斗選手を獲得したが、やや戦力ダウンといったところか。
前線は、三平和司選手がヴァンフォーレ、渡大生選手がアビスパへ移籍。知念慶選手はフロンターレへ復帰と、2020シーズンの主力級3人がチームを去った。ただし、高澤優也選手と伊佐耕平選手を残留させ、ベガルタから191センチの長身FW、長沢駿選手や決定力があり、攻撃的なポジションを複数こなせるアルビレックスの渡邉新太選手を獲得したので戦力値としては変化なしとみていいだろう。
しかしながら、「大幅な入れ替え」よりも「継続路線に少しずつ上澄みしていく」のが理想であるチームにとって、このオフの大幅な戦力の入れ替えはかなり痛い。片野坂監督の下で魅力あふれるサッカーをやることは間違いないだろうが、新戦力がフィットまでに時間がかかるのではないかと思い、17位予想とした。
18位 アビスパ福岡(2020年成績 25勝9分8敗 勝ち点84 J2 2位)
「昇格5年周期説」は本当か。2005年、2010年、2015年に次いで2020年もJ1昇格を達成したアビスパ。昇格が5年周期ならば降格もまた5年周期でしかも4回連続になってしまっている(2001年、2006年、2011年、2016年)。こっちの不名誉なジンクスはなんとか打ち破りたいところ。
オフの動きを見ていくと、守備陣ではキーパーのセランテス選手、ディフェンスリーダー上島拓巳選手が退団。一方で、GKには永石拓海選手をセレッソから、DFには奈良竜樹選手をアントラーズから、宮大樹選手をサガンから、志知孝明選手を横浜FCからそれぞれ獲得。即戦力をうまく獲得してみせた。前年比ではほぼ横ばいといったところか。
中盤陣では、ボランチとして存在感を示していた松本泰志選手と、快速でサイドを切り裂いた増山朝陽選手がそれぞれレンタル元に帰還することに。さらに、福満隆貴選手や、「福岡の一休さん」こと鈴木惇選手も退団。一方で、松本山雅FCから杉本太郎選手、V・ファーレンから吉岡雅和選手、オランダ2部のローダからジョルディ・クルークス選手という攻撃的で実力派のMFを中心に獲得した。ただ、増山選手のスピード、松本選手のボール奪取がチームの武器であったので、ここを失ったことはやや痛いか。
前線は、チーム得点王だった遠野大弥選手がフロンターレに復帰し、スーパーサブの木戸皓貴選手もモンテディオに移籍。しかし、セレッソで活躍したブルーノ・メンデス選手を獲得。フアンマ選手と強力2トップの形成か。さらに、トリニータから渡大生選手も獲得。城後寿選手、山岸祐也選手、石津大介選手も健在で、前線は粒揃いだ。
ただ、前年の主力が半分ほど抜けたのは痛い所。特に序盤のスタートダッシュがカギになる昇格組にとっては、もう少しベースを残しておきたかったところか。序盤に苦しむと予想し、18位と予想した。
19位 湘南ベルマーレ(2020年成績 6勝9分19敗 勝ち点27 18位)
2020シーズンJ1リーグ戦、屈辱の最下位を味わったベルマーレ。このオフもまた、主力の流出が相次いでしまった。
守備陣では坂圭佑選手がトリニータへ移籍。また、鈴木冬一選手も海外移籍することになった。ただし、多くの選手が起用されていたことを考えると、2人程度の退団で済んだのは幸運だったかもしれない。左ウイング候補としてはアントラーズから山本脩斗選手、松本山雅FCから高橋諒選手を獲得しており、守備陣の戦力は前年比でむしろプラスに転じているとみていい。
問題は中盤陣と前線陣だ。金子大毅選手がレッズに移籍すると、松田天馬選手はサンガに、齊藤未月選手はロシア・ルビンカザンに移籍。中盤だけで3人の主力を失ってしまった。前線では、卓越した技術を持つ中川寛斗選手がサンガに移籍し、195センチの高さがある指宿洋史選手もエスパルスに移籍。前線でジョーカーになれる選手も2人失った。
穴を埋めるべく、ボランチにはモンテディオから中村駿選手を獲得し、アントラーズから名古新太郎選手をレンタル加入させた。また、J3で10アシストを決めたパサー、池田昌生選手を福島ユナイテッドFCから獲得。前線にはギラヴァンツで活躍した町野修斗選手を獲得すると、ポストプレーヤーで7年前にはベルマーレのエースだったウェリントン選手を獲得。ポルトガル・ポルティモネンセからウェリントン・ジュニオール選手も獲得し、体裁を整えた。とはいえ、外国人選手2人がチームにフィットするにはかなりの時間が必要そうだ。
そうなると、かなり厳しいか。特に中盤が総入れ替えといっても過言ではない状況を考えると、苦しいことは間違いない。この予想を覆す戦いをまずは見せてほしいところだ。
20位 徳島ヴォルティス(2020年成績 25勝9分8敗 勝ち点84 J2 1位)
先に言っておくと、20位に予想したのと本間至恩選手の件は全く関係ない(笑)
2020シーズンは、攻撃的なサッカーで見事にJ2制覇、2度目のJ1昇格を果たしたヴォルティス。このオフは築いてきたベースを軸に静かなオフを過ごした。
その判断は決しておかしくない。ロドリゲス前監督の下で4年間築いたスタイルはJ1でも十分に通用するはずだ。
しかし、それでも気になってしまうのはセンターバックの層の薄さ。内田航平選手、石井秀典選手、田向泰輝選手、福岡翔太選手、ドゥシャン選手の既存戦力に、FC琉球から復帰した鈴木大誠選手で争うことになるのだろうが、J1経験のある選手がドゥシャン選手と石井秀典選手のみという状況。さすがに怖いか。足下の技術に長けた選手であることが絶対条件ではあるので、基準が厳しかったというところもあるのだろうが、1人〜2人はJ1で実績あるセンターバックを獲れると良かったと思う。
一方、中盤陣は結構充実している。ボランチは大黒柱・岩尾憲選手、小西雄大選手、鈴木徳真選手がいるところに、ヴェルディから藤田譲瑠チマ選手を獲得した。サイドには藤田征也選手や岸本武流選手、西谷和希選手、浜下瑛選手がいる。シャドーストライカー・2列目の位置には、「10番」・渡井理己選手や杉森孝起選手がいて、新加入の元U-21イタリア代表のバトッキオ選手を獲得。フロンターレから加入した宮代大聖選手もレンタルで獲得した。
前線では、主軸の垣田裕暉選手を残留させ、スーパーサブの河田篤秀選手、ポストプレーヤーの佐藤晃大選手と充実している。もう1人スピードタイプの選手を獲れると、なお良かったと思うが。
中盤・前線は悪くない。ただ、守備陣の層の薄さがかなり気になってしまう。守備から崩れてしまうことを危惧し、今回は20位予想とした。この予想を覆す奮闘を期待したいところだ。
2/14追記
ブラジル2部・クルゼイロの21歳、187センチの実力派センターバック、カカ選手との契約が発表されました。緊急事態宣言の解除後に正式契約して、合流予定だそうです。
補強ポイントを押さえた、的確で素晴らしい補強だと思います。
(予想した後に大物獲得するの、やめてくれよ・・泣)
J1編終了!今年は特に難しい…。
次回からは、J2編を書いていきます!
以上