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森友哉選手の獲得がオリックス・バファローズに与える影響について

2年連続のパ・リーグ制覇、そして26年ぶりの日本一を達成したオリックス・バファローズ。このオフは大きな動きがあった。

まず、主砲であり選手会長でもあり、チームの至宝である吉田正尚選手ポスティングによるメジャーリーグ挑戦がほぼ確実になった。球界屈指の打者であり、約20年に及ぶ長い暗黒期からチームを救ったまさに「救世主」。その吉田選手が「挑戦したい」と言うのであれば、妨げることはできないといったところだろう。憧れのメジャーの舞台での活躍を期待したい。

さて、吉田選手が抜けることにより、バファローズは「4番」を失うこととなった

・吉田選手以外で2桁本塁打を放ったのは、杉本裕太郎選手(15本)と頓宮裕真選手(11本)のみ

・その杉本選手頓宮選手2割台前半の低打率

(杉本選手 .235、頓宮選手 .226)

・吉田選手以外で3割打者、0人

・吉田選手以外でOPS(出塁率+長打率)が最も高い選手が中川圭太選手だが、吉田選手との差は.241と大差。(吉田選手 1.008、中川選手 .767)

・チーム得点数、リーグ4位(490得点)

 

このデータが示すとおり、お世辞にも「強力打線」とはいえないバファローズにとって、吉田選手の移籍は非常に痛手である。

3連覇を目指すのであれば補強は必須の状況。そこでフロントが出した結論は、西武ライオンズからFA宣言をした森友哉選手の獲得だった

 

森選手の主なプロフィールは以下のとおり。

生年月日:1995年8月8日生まれ(27歳)

ポジション:捕手(外野の経験もあり)

通算成績:打率.289(3147打数909安打) 102本塁打 449打点 出塁率.374

獲得タイトル:パ・リーグMVP1回、首位打者1回、ベストナイン3回

小学生のころはオリックス・バファローズジュニアでもプレー。

大阪桐蔭高校出身で、バファローズとしてはいわゆる「地元のスター」

 

こうして見ても、凄まじく輝かしい経歴である

若くして豊富な実績を誇る球界屈指の「打てる捕手」で、戦力としてはかなり大きいところであることは間違いない。日本代表(侍ジャパン)にも召集されており、今月開催されたオーストラリア代表との強化試合ではホームランを放っている。

バファローズとしては、同じ捕手である伏見寅威選手(32歳)北海道日本ハムファイターズにFA移籍をしたことから、その穴を埋めなければいけないところであったが、補って余りある役割を果たし得るなのが、今回の「森選手獲得」である。

 

「そんな森選手の獲得がバファローズにどのような影響を与えそう」なのかを個人的に考えていくと、「ポジティブ要素とネガティブ要素がともに多いな」という印象を感じた。

というわけで今回は、バファローズファンである私が感じた「森選手獲得に伴う影響」について記していくこととする。

 

ポジティブ

1.捕手打撃力のさらなる強化

今シーズンのバファローズ、捕手の打撃成績は以下のとおり。

打率.249(リーグ1位)、本塁打 6本(リーグ3位)、打点39(リーグ2位)

ちょっと意外な気はするが、リーグでも上位の打撃成績を誇るバファローズ捕手陣。しかし、この成績をさらに大きく進化させ得るのが森選手である。森選手が1年間健康体を維持し、打線の中軸を担い続けることができれば、バファローズ捕手陣の打撃力は、パ・リーグのみならず、球界でも群を抜くほどになる

捕手陣全体として、打率.270、本塁打 25本 90打点

これくらいになってくれることを期待したいところ。

2.クリーンアップの強度低下を最小限にする

吉田選手の移籍によるクリーンアップの強度低下は相当大きい。しかし、ライオンズ中軸を担い首位打者の経験を持ちOPS.800超えを4回記録し2桁本塁打を5回を記録した森選手の獲得によって、その強度低下を最小限に抑えることが可能となる。

森選手をどの打順で起用するのかはまだ不明であるが、今のバファローズの打線を考えれば、余程のことが無ければクリーンアップで起用することは間違いないだろう。現時点では「4番候補筆頭」であり、「打線の新たな中核」となる森選手の強打に大きな期待がかかる。

3.捕手陣の若返り

先述したとおり、32歳の伏見選手がFA移籍でチームを離れたが、27歳の森選手が加入するという形で、自然な流れで捕手陣の若返りに成功しつつ、層を厚くした

松井雅人選手への戦力外通告もあったため、捕手陣の最年長が森選手若月選手、そしてファイターズからトレードで加入した石川亮選手の27歳となり、「経験あるベテラン捕手」がいないのは若干の不安要素ではあるが、森選手・若月選手・石川選手の3人合計で1786試合出場(森選手926試合、若月選手653試合、石川選手207試合)と「経験値」自体は十分すぎるので、大きな問題にはならないはずだ。

4.勝者のメンタリティ

リーグ2連覇に26年ぶりの日本一と、黄金期到来といっていい今のバファローズ。現在在籍する選手達にも「勝者のメンタリティ」は付いてきているが、そこに、

大阪桐蔭高校時代に春・夏全国制覇

・2018シーズンと2019シーズンにパ・リーグ連覇

を経験している森選手が加入することで、チームにさらなる「勝者のメンタリティ」を注入し、確固たるものにすることができれば、「常勝軍団」にさらに近づくことができる。

「鉄は熱いうちに打て」という諺のとおり、今こそ「勝者のメンタリティ、完全定着」のタイミングである。

 

ネガティブ

1.捕手への「強烈な」こだわりによる他選手への影響

バファローズでは「背番号4」を着用するとのこと。これは、メジャーリーグの超名門、セントルイス・カージナルスで18年間正捕手を務め上げた名捕手であるヤディアー・モリーナ選手と同じ背番号で、森選手もそのモリーナ選手への憧れから、背番号4を希望したとのこと。それほどまでに「捕手へのこだわり」が強烈

このこだわり自体は決して悪くない。ただ、バファローズには日本一にも大きく貢献した若月選手やトレード加入で意欲を見せる石川選手、大卒2年目を迎える福永奨選手高卒3年目を迎える中川拓真選手という有望株もいる。

捕手への強いこだわりを持つ森選手が正捕手として君臨した場合、上記した4選手の出場機会は大きく減ることになるそれによるモチベーション低下、試合勘の低下から生じるパフォーマンスの低下はかなり心配される。

森選手がDH起用・外野起用にも意を介さないでいてくれるか。それ次第では起用法も大きく変わることになるため、チーム運用のカギを握りそうだ

2.素行面

いわゆる「優等生タイプ」ではなく、ヤンチャな印象もある森選手。出番に恵まれない時でもベンチで声を出し、ムードメーカーの役割も担っていた伏見選手とは真逆のタイプだ。今のバファローズにはあまり見ないタイプであるが、そこがどう反応を見せるかが未知数である。

また、今年の4月には試合中にロッカールームでキャッチャーマスクを投げつけた上、その動作で右手指を骨折し、1カ月以上の長期離脱という問題行動も起こしている。責任感の強さが出てしまったのかもしれないが、高額年俸をもらい、中軸を担う選手がこのような形で離脱という事態になると、チームに暗い影を落としかねない。バファローズ移籍を機に変われるだろうか。

3.強い隔年傾向にある打撃成績

球界屈指の打てる捕手である森選手だが、成績は隔年傾向が強い。直近5年間の成績が以下のとおり。

2018 打率.275  本塁打16  打点80  出塁率.366  OPS.823

2019 打率.329  本塁打23  打点105  出塁率.413  OPS.959

2020 打率.251  本塁打9  打点38  出塁率.325  OPS.705

2021 打率.309  本塁打11  打点41  出塁率.420  OPS.889

2022 打率.251  本塁打8  打点38  出塁率.328 OPS.718

このように隔年傾向が強く、2年連続で打率3割を超えたことが無い点ここ3年で2ケタホームランが1回のみというのは気がかりである。特に吉田選手という、5年連続3割超えかつ5年連続2ケタホームランを記録しているほどに安定感抜群の選手の後継としては不安は残るところだ。

4.若手有望株の流出危機

今回の森選手獲得で最大の注目となっているのは、ライオンズ人的補償で誰を獲得するか」というところだろう。

バファローズ人的補償による流失を自力で防ぐことができる「プロテクト」28人。ほかの27選手(外国人選手・2022年ドラフトで指名した5選手・育成選手は除く)はプロテクトできないということになる。

バファローズは、ここ数年若手育成で大きな成果を発揮している。今年の日本シリーズでは7戦全部のスターティングメンバー全員が生え抜き選手だったことからも顕著に表れている。スタメン起用された選手以外にも、多くの若手有望株が在籍していることもあり、今後が楽しみなチームだが、その分、プロテクト漏れする(させざるを得ない)若手有望株も多くなる。

選手の移籍、それも人的補償という制度の下で行われる「センシティブな話」であるため、ここではあまり深く突っ込まないようにするが、数多くの若手有望株がプロテクト漏れしていることは間違いないだろう

高いポテンシャルを持つバファローズの若手有望株たちの中から、誰を選択するのか。それとも、予想に反して豊富な経験を持つ貴重なベテランを選択するのか。ライオンズが現時点では分からないが、いずれにせよ貴重な人材を失うことは間違いないだろう。

 

 

ポジティブ要素・ネガティブ要素ともに多くある、今回の「森選手獲得」。私も含めた不安視する見方をする人間を黙らせるほどの活躍を、森選手には見せてほしいところだ。

 

 

以上