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松橋力蔵監督の高い「人材活用力」

J1復帰初年度を戦うアルビレックス新潟

ここまでの戦績は以下のとおりである。

 

J1リーグ戦 7勝7分10敗 勝ち点28で14位(18チーム中)

YBCルヴァン杯 Dグループ 2勝4敗 勝ち点6で3位(4チーム中)、グループステージ敗退

○第103回天皇杯 ベスト8進出

 

開幕4戦を2勝2分無敗の好スタート。それもサンフレッチェ広島川崎フロンターレという強豪を倒し、セレッソ大阪北海道コンサドーレ札幌というJ1で継続的に好成績を収める好チーム相手に引き分けとはいえ、複数得点を挙げた衝撃の開幕4試合を見た後に、この成績を見れば、賛否が分かれるのも仕方ないところだろう。

 

特に、第14節〜第17節までの(当時)下位グループとの直接対決となった、サガン鳥栖ガンバ大阪湘南ベルマーレ京都サンガF.C.との4連戦の戦いぶりはお世辞にも褒められたものではなく、未勝利の1分3敗に終わったことで、J1残留争いに巻き込まれることになってしまった。

この4試合は守備面の崩壊が凄まじく、その象徴的なシーンを挙げると、以下のとおりである。

○凡ミスからの失点を繰り返す(ガンバ戦の3失点目、サンガ戦の2失点目など)

○自分たちの連携ミスで与えたコーナーキックから流れを持って行かれた挙句、同点に追いつかれる(ベルマーレ戦)

○前半15分以内での被先制点を当たり前のように繰り返す(サガン戦、ガンバ戦、ベルマーレ戦)

 

さらに追い討ちをかけたのが、ルヴァン杯での3連敗。柏レイソルアビスパ福岡に逆転負けを喫すると、一縷の望みを賭けて臨んだはずの鹿島アントラーズ戦では目を覆いたくなるような失点を許し、あっさりと敗退。

「J1の壁」に直面し、自信を失ってしまっているようなプレーに終始しているように映る。そんなシーンばかりが目についた。

「泣きっ面に蜂」とばかりに、このドン底の時期に攻撃の中心であった伊藤涼太郎選手のベルギーリーグ・シントトロイデンへの移籍も発表され、厳しい台所事情に拍車がかかることに。

「リーグ後半戦の苦戦は必至」

ほとんどの人は覚悟していたと思われる。

 

この時期は松橋力蔵監督、解任論」が出るほどであった。(あくまでも一部の少人数ではあるが)

見る目のない筆者もまた、「これ以上負け続けてしまうようであれば、さすがに危ないかもしれないな」と思っていた。

 

 

しかし、松橋監督の「指揮官としての才」が存分に発揮されたのもまた、このあたりであった。その象徴的なシーンが以下のとおり。

 

○第16節・湘南ベルマーレ戦から、左SBを本職とする渡邊泰基選手「左CBのレギュラー格」として本格的に起用。強靱なフィジカル、十分すぎるほどのスピード、天性の危機察知能力の高さで、一躍、アルビレックス守備陣の要」に成長。

 

○リーグ戦4戦勝ち無しで迎えた第18節・柏レイソル戦から、両SHを本職とする三戸舜介選手をトップ下に起用。第19節・サンフレッチェ広島戦で1ゴール1アシストを決めるなど、やや停滞気味だった攻撃力を取り戻す。

 

○右SBを本職とするも守備力に不安のあった長谷川巧選手天皇杯3回戦のカターレ富山戦で「右SH」として起用。1得点を挙げて結果を残すと、その後の第21節・北海道コンサドーレ札幌戦では、右SHとして途中投入。さらに第23節・湘南ベルマーレ戦と第24節・アビスパ福岡戦では右SHで先発起用し、長所であるのスピードやフィジカルの強さを存分に見せつける。

 

昨シーズンから出場機会に恵まれず、力を発揮できていなかった渡邊選手長谷川選手、「J1の壁」に苦しんでいた印象の三戸選手をコンバートさせることで、新たな可能性を示す人材活用力の高さを見せつけ、「指揮官」としての高い能力を発揮した松橋監督

 

 

思えば、昨シーズンも同じようなことがあった

リーグも中盤戦に入ろうとしていた頃、ボランチ陣に負傷者並びにコンディション不良者が続出し、枚数が大きく不足したが、その際に、SHを本職としていた星雄次選手ボランチに本格的にコンバートさせた (実際にはシーズンスタート時点から準備はしていたようだが…)。

失礼を承知で言えば、星選手は、「スピード力」「ドリブルで守備網を破壊できる力」という点では、他のSHと比べると少し見劣りしていた感があった。アルビレックスサイドアタッカーに最も求められるこの2点で見劣りしてしまうと、出場機会を掴むことはなかなかに難しくなってしまう。

その一方で、「気の利いたポジショニング」「足下の技術の高さ」「ピッチを走り回れるスタミナ」という長所があった。ボランチコンバートは、その長所を活かすには最適解だった。

結果として、このコンバートは星選手のキャリアの大きな転換点となり、「攻守の潤滑油」としての活躍を見せて、チームのJ1昇格に大きく貢献。星選手自身3年ぶりのJ1の舞台に挑むことになり、今シーズンはJ1ではキャリア最多の11試合に出場。今後も出場機会が増えていくことが濃厚である。

 

 

選手1人1人の長所を見極め、その長所を活かすための起用法を編み出し、戦力を自分たちの手で増やしていく。それを可能とする松橋監督の高い「人材活用力」に、今後も注目していきたいところだ。

 

 

以上