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アルビレックス新潟 おとぎ話第一章完結から17年

前回記事リンク↓

 

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あの昇格決定の試合から17年。今、アルビレックス新潟はJ2の舞台にいる。

2004年のJ1参戦以降、幾多の苦難を乗り越えた。幾多の名勝負を繰り広げた。さまざまなスター選手を輩出し、日本代表戦士を輩出し、ワールドカップ出場者まで輩出した。

ある時は0-60-7の大敗を喫した。開幕戦から0-6の試合を見せられたときもあった。当時高校生の内田篤人選手が観ていた試合で2-7で敗れ鹿島アントラーズへ入ることを決心させてしまった試合もあった。そのくせ、ある時は4-05-0での圧勝なんてこともあった。88分までに2点差を付けられた王者との試合で88分、89分の2分で2点を奪い、追いついた奇跡的な試合もあった。思えば、J1初勝利後半ロスタイムに2点を奪っての大逆転勝利。奇跡を起こす新潟らしい試合だった。

後半戦だけなら優勝というシーズンもあった。「これが2ステージ制だったらなぁ」と思ったことを今でも覚えている。そのまた逆で、勝点30しか取れていないのに残留したシーズンもあった。

 

そんなこんなで14年間守り続けたJ1の舞台。そこから転落したのは2017年。ここからの2年半は悪夢だったと言っていい。チームの武器だった「まとまり」は完全に消え失せ、ブラジル人選手が相次いで造反を起こした。規律違反を起こしたり、練習試合で対戦相手に暴行を振るう選手まで出てきてしまった。契約を守る事すらできない人間もいた。降格が決まった第32節VSヴァンフォーレ甲府「目の前で降格が決まったのに笑っていた選手がいた」と解説者になったレジェンドOB、内田潤さんに言われるようなチームに成り下がっていた。

主力が大半残留して臨んだ2018年、まさかのJ2残留争いに巻き込まれた。ハッキリ言って、希望がなかった。毎試合のように同じようなミスを繰り返し、集中力を感じない試合が続いた。「監督のせいだ」と言う人もいるが、正直それ以前の話だったと思う。珍しく押し気味で試合を進めていても決定力に欠き、決められずにいると一発でやられる。「これが去年までJ1にいたチームなのか」と何度疑問に思わされたか、わからない。

しかし、2019年の後半あたりからポジティブな変化が起こり始めた。吉永一明監督の下、攻撃的なサッカーが徐々にチームに根付いていく。毎試合のように得点が入る。観ていて面白いサッカーを取り戻してきていたのが目に見えて分かった。選手達もまた、このサッカーに魅力を感じていたのだろう。後半戦で見せていた顔は明らかに違っていた。

そして2020年、クラブ初のスペイン人監督、アルベルト・プッチ・オルトネダ監督の下、チームは再びJ1昇格を目指して戦い続けている。

 

Jリーグ最高峰の舞台、J1リーグ。この舞台に14年間いたが、タイトル争いとは無縁だった。しかし、かつては「サッカー不毛の地」と言われた新潟にJ1のクラブがいたという事実。この事実が大きな影響を与えている。

前回J1昇格を果たした2003年には1人しかいなかったユース・下部組織出身者。2020年のチームには7人いる。(ツエーゲン金沢にレンタル移籍中の長谷川巧選手を入れると8人)

2020年のチーム初ゴールは渡邉新太選手新潟ユース出身の選手がチーム初ゴールを決めたのは初めてのことだった。

J2参戦した1999年以降、ブラジル人選手が付けるのが当たり前だった背番号10。2020年、その背番号10を着けるのは本間至恩選手。この選手も新潟の下部組織(新潟U-18)出身の選手。文字通り新潟で育った選手が「トップチームの10番」を着けるような時代になった。

 

ユースや下部組織だけではない。高校サッカーに目を転じれば、帝京長岡高校が全国ベスト4に進出した。大学サッカーを見れば、新潟医療福祉大学に有力選手が多く入学する時代になった。新潟県出身のJリーガーも珍しくなくなった。学校、監督、選手達の努力はもちろんだが、アルビレックス新潟という存在が新潟サッカー界に多少なりとも影響を与えているのではないだろうか。

 

クラブに話を戻す。

2019年から是永大輔氏が社長に就任した。万年赤字続きだったアルビレックス新潟シンガポールを黒字に転換させた敏腕社長だ。「電気・ガス・水道・アルビレックス」「2030年ACL出場」を目標に掲げる社長の下、「アルビレックス新潟」が新潟の人たちの生活に不可欠な存在になっていくために会社として尽力している。

実際、2019シーズンの収益はそれまでに比べてかなり増えたそうで、今後にも期待できそうだ。敏腕社長の辣腕に目が離せない。

 

Jリーグ全体のレベルは上がっている。J2も例に漏れず。J1から降格したチームがどれだけの数、「J2の沼」にハマって脱出できていないか。千葉ヴェルディ京都山形福岡大宮甲府、そして新潟。複数シーズンJ1在籍経験のあるチームがこれだけ揃っている今のJ2。レベルが上がるのも当然だ。

レベルの上がったJ2リーグを突破して再びJ1の舞台で戦うことは難しいミッションではあるのは間違いない。それでも奇跡を起こし続けたこのチームならやってくれると思っている。

2003年のJ1昇格の時、チームにはクラブハウスも専用練習場もなかった。今のチームにはクラブハウスも専用練習場もある。あのころに比べたら随分と恵まれた環境に変わっているのだから。

 

2003年の時は、「J1昇格」が唯一にして最大の目標だった。しかし今、それではJ1には上がれない。目標はあくまでも「J1で上位に行けるチーム」だ。その目標を掲げて初めて「J1昇格」が見えてくる。

さいころに新潟おとぎ話第1章完結の瞬間を見た選手達、おとぎ話を聞いた選手達の手で、もう1度、「J1 アルビレックス新潟の姿を見せてほしい。そして今度は、「J1の舞台でも上位に行けるチーム」に、そしてアジアの舞台で大暴れするアルビレックスを見てみたい。

アルビレックスの活躍が新潟のサッカー界をさらに躍進させるためには必要だ。

 

 

以上