「試金石」
-価値・力量などを判定する材料となる物事 (広辞苑より)
アルビレックス新潟の歴史を振り返ると、「第5節」はこの言葉のようなものだと私は思っている。
特に近年はその傾向が強い。
2017年→
ホームでのガンバ大阪戦
一時逆転しながらも、再逆転を喫し敗戦。
それまでは内容的にも見れるものだったが、この試合を境に一気に暗転。この年、監督解任、そしてJ2降格を味わうこととなる。
2018年→
ホームでの愛媛FC戦
それまでの4戦で2勝2分無敗、勝ち点8だったが、内容に不安が残るものが多かった。
そしてこの試合でも愛媛に攻め込まれる場面が目立ち、85分に左からのコーナーキックで失点を喫し、敗戦。
この試合を境に少しずつ暗転。「勝ってもスッキリせず、負ける時は完敗」が続き、夏場には6連敗からの監督解任、一時はJ3降格危機を迎えるなど、クラブ史上最悪クラスのシーズンとなった。
2019年→
ホームでのアビスパ福岡戦
2節のジェフ千葉戦で快勝、4節の横浜FC戦では88分にカウエ選手のゴールで勝利を掴み、「今年は勝負強い」と思わせたが、この試合ではそれまで未勝利だった絶不調のアビスパ相手に得点を奪えず、84分に左からのコーナーキックで失点し、敗戦。
2年連続、同じような時間帯で同じような失点を繰り返したチームは再び監督解任をすることに。
2020年→
アウェイでのFC町田ゼルビア戦
開始早々に失点し、追加点も奪われ、2点ビハインドを背負うことになるが、後半に3得点を奪った結果、ドローに持ち込む。
この試合、90分に同点弾をスーパーボレーで叩き込んだ本間至恩選手はこの試合から「フィニッシャー」としての溢れる才能を見せつけるようになる。
また、アルベルト体制の可能性を見せつける試合でもあり、昇格失敗こそしたが、「アルビレックスのサッカーは面白い」という希望を持たせる。
何か、怖いくらいに「第5節」がその年を占っているような気がする。
さらに遡ると、
2003年→
アウェイでのヴァンフォーレ甲府戦
開幕2連勝のあと2連敗を喫し、昇格に暗雲が立ち込める中、新加入の森田浩史選手の2ゴールと山口素弘選手のゴールで3-1で勝利を収め、悪い流れを切ることに成功。(当時、「第5節での勝利」は1999年以来4年ぶり2回目)
ご存知のとおり、この年は見事にJ1昇格を果たす。
2007年→
1勝2分1敗で迎えたアウェイでのFC東京戦
坂本將貴選手のゴールで先制し、エジミウソン選手とマルシオリシャルデス選手の追加点で3-1で勝利。内容でも圧倒できた試合で、「今年は本当に強い」と思わせた。
実際に、この年はクラブ史上最高の6位でシーズンを終えることに成功した。
2009年→
4-3-3システムが大ハマリし、開幕4試合で3勝1分無敗と開幕ダッシュに成功していた。そして、「J1首位」で迎えたアウェイでの京都サンガF.C.戦
この試合、開始4分でパウリーニョ選手に先制ゴールを決められると、そのまま0-1で敗戦。
最終的には8位フィニッシュとなり、決して悪いシーズンではなかったが、この試合に勝っていたら、勢いのままに優勝争いを続けていたかもしれない、実にもったいない試合だった。
といったように、「第5節」はアルビレックスにとって、大きな意味を持つ試合が多い。
そして、今シーズンの「第5節」はホームで迎える東京ヴェルディ戦である。
アルビレックスファン・サポーターであれば、すでにご存知だと思う。
リーグ戦での対ヴェルディの戦績は0勝7分5敗。12試合対戦して1度たりとも勝ったことがない。
川崎フロンターレよりも、
横浜F・マリノスよりも、
鹿島アントラーズよりも、
サンフレッチェ広島よりも、
ガンバ大阪よりも、
柏レイソルよりも、
浦和レッズよりも
勝てる気がしない。まさに「天敵」
そんな相手が、重要な「第5節」にやってくるのだ。
しかし、ここで「ヴェルディ戦未勝利の歴史」に終止符を打つことが出来たなら…
何か凄いことが起こるのではないかという予感がする。
ヴェルディは今年もいいチームを作ってきている。永井秀樹監督の下、高いボール支配率を誇り、試合を支配する「ヴェルディスタイル」は今年も健在。加えて、カウンターアタックも非常にスピーディーで、強力な攻撃陣を形成している。優秀なユース出身者勢と頼れるベテラン勢との融合は脅威だ。
今年も必ず「難しい試合」になることは間違いない。
それでも、クラブ史上22年ぶり2回目となる開幕4連勝を果たした今のアルビレックスならば、勝利を奪い切れるのではないかという期待がある。
アルベルト監督の下で築きつつある攻撃サッカー、鮮やかなパスサッカーは見る者を楽しませるだけでなく、やっている選手たちもまた楽しそうだ。クラブの歴史に残るレベルの、質の高いサッカーを実現している今のアルビレックス。期待せざるを得ない。
「第5節 東京ヴェルディ戦」は2021年のアルビレックス新潟を占う大一番になるかもしれない。
以上