2回前から始めたドラフト振り返り企画。
ちなみに前回以前の記事はこちら
kka2b-sportswokataritai.hatenablog.com
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今回からはパ・リーグ編。
今回は
この3チームについてドラフト前に書いた「予測編」については、下にリンクを貼ります。良かったらご覧ください。
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補強ポイント
①将来有望かつ即戦力でもいける三塁手候補
②将来有望な先発候補
実際のドラフト結果(育成指名は省略)
2位 佐々木 健 投手(NTT東日本)
4位 若林 楽人 外野手(駒澤大)
5位 大曲 錬 投手(福岡大・準硬式)
6位 タイシンガー・ブランドン 大河 内野手(東農大北海道オホーツク)
一時はAクラス入りすら厳しいという状況にまで追い込まれながら、最後にはCS争いに絡むまでの追い上げを見せ、3位に入ったライオンズ。ここぞの集中力、「勝ち方を知っている」というところはさすがの一言に尽きる。
とはいえ、3連覇を逃してしまったことは事実。来年、2年ぶりのリーグ制覇を果たすためにも必要だと考えたのは、
②高橋光成投手しか規定投球回数に達せず、苦しい状態が続く先発投手陣
だった。
1位指名で早大・早川投手を指名したがくじを外してしまい、さてどうするかというところ。ここでライオンズは方針を変え、桐蔭横浜大・渡部選手を指名してきた。三塁手をメインとしていて、体格やその体格からは想像できないほどの俊敏性、さらに遊撃手もこなせる野球センス。完全に「中村剛也選手の後釜」としての指名と考えていいだろう。もちろん打撃もレベルが高く、長打力はかなりなもの。将来的には森選手と3・4番を組むこともあるかもと期待される。
また、少しポイントからは逸れるが、3位の東海大相模高・山村選手について、個人的な印象では、筒香選手(現レイズ)のような選手になれる素材だと思っている。2年夏の神奈川県大会決勝で見せた2本のホームランは素晴らしいの一言で、パワーもあるが、それ以上に打撃技術の高さを感じさせる打者だ。また、この選手は一塁をメインにしていたが、3年では遊撃手としても出場していたようで、この選手もセンスは相当なものと思われる。5年後にはこの選手も打線の中心に入っているかも。
4位の駒大・若林選手、6位の東農大北海道オホーツク・タイシンガーブランドン大河選手、7位の大阪桐蔭高・仲三河選手は長打力があり、「身体能力に優れたタイプ」の野手。また、タイシンガー選手はルックスの良さも武器。(スカウトが「甘いマスクも魅力」と言ってしまうくらい)
こうした身体能力型の野手を育てるのは上手い印象のライオンズなので、期待大。
一方、課題の先発投手陣についてだが、NTT東日本・佐々木投手を2位で指名。力強いストレートはかなり魅力的とのことで、即戦力として期待できる。しかしながら、制球面ではなかなか不安があるようで、そこに目を瞑って使い続けられるかがカギだ。
また、5位の福岡大・大曲投手は準硬式野球出身という異色の球歴。準硬式という、硬式よりも球速が出ないところでMAX154キロを投じたというところからも、スピードにはかなり期待していいのではないかと思うが、5年ぶりの硬式野球、それもそこがプロ野球の世界というところで、どれほど通用するか。1野球ファンとして楽しみなところだ。
全体的には「身体能力型の野手を多く確保してきたな」という印象のライオンズ。この球団は伝統的に秋山幸二選手や松井稼頭央選手といった「身体能力型野手」を育てるのが上手い印象なので、どこまでスケールの大きい選手に育ててくれるか、楽しみが増えるようなドラフトだった。
補強ポイント
①松田選手の後継者
②実は不足している先発投手候補
実際のドラフト結果(育成指名は省略)
2位 笹川 吉康 外野手(横浜商高)
3位 牧原 巧汰 捕手(日大藤沢高)
5位 田上 奏大 外野手(履正社高)
圧倒的なチーム力で優勝を果たしたホークス。現有戦力への手応え、3軍まで擁する超大型の育成機関に対する自信が今回のような「全員高校生」という驚異的なまでに振り切ったドラフトを可能にするのだろう。
衰えが顕著になっている37歳、松田選手の後釜候補として誰を取るのかというところを注目していたのだが、そこには花咲徳栄高・井上選手を1位指名で確保してきた。流石に即戦力にとってくるかと思っていたし、現に本指名では近大・佐藤選手を指名していたのだが、クジを外した途端にここまで割り切ってくるとは想定外だった。(この時点では、中大・牧選手も残っていたし、桐蔭横浜大・渡部選手もいたのでなおさら)
とはいえ、この井上選手も素晴らしい能力の持ち主。1年性の頃から名門・花咲徳栄高で中軸を担い、甲子園でも活躍を見せている。力強いスイングから生み出される長打力は素晴らしく、将来的には「3割30発100打点」が期待できるスケールの大きな打者になる予感。
2位の横浜商高・笹川選手は190センチオーバーという体躯から想像する通りの大砲候補といったところか。甲子園経験はないが、高校通算40本塁打の長打力は伊達ではなく、「将来の柳田悠岐2世」を狙ってのことと思われる。スカウト曰く「全てが規格外」というところからも柳田選手を彷彿とさせる。
3位の日大藤沢高・牧原選手は現在の正捕手である甲斐選手の後継候補か。若手のイメージが強かった甲斐選手も来年で29歳。そろそろ後継者候補が欲しかったところに、この牧原選手の存在はまさに「渡りに船」。甲斐選手に勝るとも劣らない強肩は「2塁への送球到達最速タイム1.88秒」という数字でもわかる。この「1.88秒」はプロでもトップクラスのタイム。鍛え方次第では、甲斐選手をも上回る強肩捕手となるポテンシャルを秘めている。
4位の青森山田高・川原田選手は172センチと体格は小柄だが、スピードや守備にはかなり定評があり、「今宮2世」という呼び声も。近年はケガがちになってきた今宮選手の状態を考えると、後継者育成を本格的に始めないといけなかったが、この川原田選手が後継者となれるか。
そして5位の履正社高・田上選手は外野手として登録されているが、スカウトのコメントを見る限り、「投手」として育てようという気持ちが強く見える。確かに投手としてのポテンシャルは凄まじい。MAX151キロのストレートは各方面から「衝撃が走るボール」と絶賛されるほど。
元々、外野手兼投手として高校でも活躍していたが、ホークスでは投手に専念するのか。それとも、大谷選手(現・エンゼルス)のような「二刀流」として育成するのか。
また、母思いの選手であり、病を患った母に「楽をさせてあげたい」という一心で、大学進学からプロへ進路変更したという選手。こういう選手は敵味方関係なく応援したくなる選手だ。
補強ポイントの①、②ともに即戦力の補強はなかったが、5年後には投打の中心になりそうな選手たちをしっかり確保したという印象。常に先を見据えたホークスらしいドラフトになったのでは。
補強ポイント
①則本投手・涌井投手と来年から3本柱を組める投手
②生え抜き大砲候補
実際のドラフト結果(育成指名は省略)
1位 早川 隆久 投手(早稲田大)
2位 高田 孝一 投手(法政大)
3位 藤井 聖 投手(ENEOS)
4位 内間 拓馬 投手(亜細亜大)
6位 内 星龍 投手(履正社高)
リーグトップの打線を擁しながら、投手陣の崩れや細かいところでのミスの多発でまさかのBクラスに沈んだイーグルス。
先発投手陣も30代の選手が多くなっている中、「すぐにでも即戦力が必要」と思っていた(補強ポイント①のとおり)。そして、フロントも同じ考えだったようだ。
1位指名したのは、早大・早川投手。4球団競合の末に見事当たりくじを引き当ててみせた。(余談だが、前述「4球団」の中には早川投手の出身地・千葉県を本拠地にするマリーンズも入っていた。これは「平沢大河選手の時の分の『倍返し』」と思ってしまったのは、恐らく私だけではないはず。 笑)
もはや説明不要の即戦力。1年目から則本投手、涌井投手との3本柱の形成を期待しての指名だろう。
さらに2位には法大・高田投手を指名。MAX155キロのストレートが大きな武器の右腕で、実はコントロールも良い。四死球はそれほど多くなく(大学リーグ戦通算137イニングに対して40与四死球で、1試合あたりの四死球率は2.62)、四死球で崩れるタイプではないことは間違いない。この投手も1年目から先発ローテーション入りに名乗りを上げてもおかしくない。
3位にはENEOS・藤井投手を指名。東洋大の同級生には、上茶谷投手(現・ベイスターズ)や梅津投手(現・ドラゴンズ)、甲斐野投手(現・ホークス)がいたこともあり、出番に恵まれなかったが、スカウトからはかなり高く評価されていた。そして、社会人野球へ舞台を移すと、名門・ENEOSでエース格に。左腕でありながら、150キロオーバーのストレートを持ち、次々と三振を奪える圧巻の球威を持つ。将来的には、先発としてはもちろん、この球威を活かして、左のリリーフエースや、今年固定できなかったクローザーという使い方もある。どういう使われ方をするのか楽しみだ。
4位の亜大・内間投手もまた、ストレートに力のある投手。ただし、1〜3位で指名された投手に比べるとコントロールには難がある印象で、与四死球も多い。(大学リーグ通算四死球率は5.08)
来シーズンは1軍で見ることもあるだろうが、まずは大量点差がついた試合での登板から信頼を掴みたいところだろうか。
5位の仙台育英高・入江選手は「5年後の3番・遊撃手候補」といったところか。185センチ83キロという恵まれた体躯で振り抜くスイング。そのスイングスピードは最速162キロとかなりのもの。生え抜き大砲が未だにいないイーグルスにとっては待望の大砲候補だ。
6位の履正社高・内投手は、190センチの大柄な体格と、山本由伸投手(バファローズ)を参考にしたであろう投球フォームから投じられるストレートに定評がある。3年の夏の地方大会では本来の力を発揮できなかったようだが、潜在能力の高さは評価した形だ。イーグルスは球団創設時から下位指名の選手が活躍することが多い。(辛島投手や高梨投手、島内選手、渡辺直人選手など)
内選手もこの流れに乗っていけるか。
即戦力の投手を多く獲得し、将来の大砲候補も獲得。さらに将来的には先発投手陣の軸になれる逸材も獲得したイーグルス。ドラフト戦略としてはかなりうまくいったというところだろう。
今回はここまで。
次回は、千葉ロッテ・北海道日本ハム・オリックスについて書いていく。
11/21追記 リンクを貼ります。よかったらご覧ください。
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以上