2022シーズンのプロ野球はオリックス・バファローズが26年ぶり、「バファローズ」としては史上初の日本一を果たす形で幕を閉じた。
今回から2回はこの2022シーズンのプロ野球を、シーズン前に予想したものと比べながら、振り返っていくことにする。
ちなみに、シーズン前の予想は以下のとおり
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〇サプライズチーム→埼玉西武ライオンズ
5位予想だったが、実際には3位フィニッシュ。この結果についてもサプライズではあったが、キーマンと予想していた主砲・山川穂高選手が、41本塁打と完全復活しているので、ある意味当然と言えば当然。
では何が本当のサプライズだったかといえば、昨シーズンまでウィークポイントとされていた「投手陣の奮闘」これに尽きる。
チーム防御率2.75はリーグトップ。エース・高橋光成投手は175イニングを投じ、「イニングイーター」の役割もこなしながら、防御率2.20に12勝の奮闘ぶり。「絶滅危惧種」といわれるアンダースローを武器に10勝をあげた與座海人投手の活躍も大きかった。新外国人選手であるエンス投手も10勝をあげており、2ケタ勝利投手はチームに3人。これは今年のプロ野球界で唯一である。
先発投手陣の奮闘も素晴らしかったが、さらに素晴らしかったのが救援陣の鉄壁ぶり。
平良海馬投手(61試合登板35ホールドポイント)、増田達至投手(52試合登板31セーブ)といった実績のある投手たちの活躍は元々想定どおりだったが、水上由伸投手(60試合35ホールドポイント)、本田圭佑投手(45試合登板24ホールドポイント)は想定外だった。特に本田投手については開幕前、「先発ローテーション入りするかどうかの投手」という印象だったのだが、強力救援陣の一角を担い、層を厚くすることに大きく貢献した。
このオフのドラフトでも、即戦力の投手である青山美夏人投手(亜大)、好素材の山田陽斗投手(近江高)を獲得し、投手王国完成を目指すライオンズ。今シーズンのいい流れを継続させながら、着実に王国形成に歩みを続けてほしいところだ。
〇逆サプライズチーム→東北楽天ゴールデンイーグルス
課題とされた機動力不足を西川遥輝選手の加入で解決し、長年の課題とされていた長打力不足は2021シーズンの3AのMVPであるマルモレホス選手の加入で解決させた。則本昂大投手・田中将大投手・岸孝之投手・早川隆久投手・瀧中龍太投手の強力先発投手陣でゲームを作り、絶対的守護神である松井裕樹投手で締める必勝パターンが確立されていて、隙がない。
これがシーズン前の私の予想であった。実際、このパターンで開幕ダッシュに成功し、首位を独走。4月26日〜5月10日にかけて、1引分けを挟んでの11連勝も達成。勝ち越しは最大で18を数えた。(5月10日時点 24勝6敗1分)
「今年はイーグルスの年だ」と私も思っていた。
5月10日までは
5月11日から4連敗を喫したところがケチのつけ始めだった。そこから7月24日までの約2ヶ月半、57試合で20勝36敗1分という戦績を喫したことで勝ち越しを2まで減らす。後半戦も出だしこそ2カード連続勝ち越しを果たすが、それも長続きせずに、8月13日にはついに勝ち越し0に。その後も勝ったり負けたりを繰り返していたが、最終4試合で4連敗を喫し、最終成績は69勝71敗3分けと2つの負け越し、リーグ4位まで落ちてしまった。5月11日以降の成績だけで切り取ると、45勝65敗2分と20の負け越し。しかも交流戦は9勝9敗で乗り切っていたということを考えると、パ・リーグの5球団だけで20の負け越しを喫していたことになる。この期間の成績だけであればダントツの最下位となっており、その落差には多くのイーグルスファンの方が失望したと思われる。
さらに金曜日は5月13日から19連敗を喫し、シーズン終了。「ブラックフライデー」と言われてしまう事態に。
理由は探せばキリがないが、圧倒的な実績とネームバリューを誇る先発投手陣は軒並み期待を裏切り、打線の核となるはずの西川遥輝選手とマルモレホス選手が2割前半を彷徨い、主砲・浅村栄斗選手までも2割5分ほどの不振に陥ったのは大きな誤算だったはずだ。
それでも、辰巳涼介選手がようやく本格覚醒のキッカケを掴みつつあること、チーム盗塁数も90個を超えたこと(97個でリーグ2位)など、良いところもあった。ドラフトで即戦力投手を大量に獲得し、世代交代が期待できる来シーズンこそ、優勝を狙いたいところだ。
〇自分の見る目が無かった(5年目以下)→木澤尚文投手(東京ヤクルトスワローズ)、岡林勇希選手(中日ドラゴンズ)
木澤投手はルーキーイヤーとなる昨シーズンは1軍のマウンドに立つことなく終了。それどころかファームでも打ち込まれ、オフのフェニックスリーグでも大量失点を喫するなど、壁にぶつかっていた。それが今年は一気に飛躍。中継ぎとして55試合に登板すると、9勝8ホールドの活躍。この9勝はチームトップで、チームのセ・リーグ2連覇に大きく貢献した。オフに習得した高速シュートが大きな武器となり、対右打者はなんと被打率.180と素晴らしい数字。右キラーの名に相応しい活躍だった。
そして、岡林選手については本当に驚かされた。
・大島洋平選手と「俊足巧打」というタイプが被ること
・チーム全体が深刻な長打力不足であること
・その課題を補うためか、2021年ドラフトで長距離砲タイプの外野手2人(ブライト健太選手・鵜飼航丞選手)を獲得したこと
ここから考えると、岡林選手の今シーズンのレギュラー奪取はかなり難しいと思っていたのだが、私の見る目の無さをまざまざと見せ付ける結果を残してくれた。
打率.291という数字も素晴らしいが、161安打はセ・リーグ最多安打。高卒3年目にしてタイトルホルダーになってしまったのだから、凄まじい。
活躍は「打つ」だけではない。24盗塁を記録した走塁面での貢献も大きく、さらに凄いのは守備面。守備範囲を数値化した「UZR」で驚異の27超え。言い換えれば、「1人で27失点を防いだ」ということになる。
正直、こんな数値を見たことが無い。凄すぎる。
自分の見る目の無さをここまで露呈するとは思わなかったが、予想を大きく上回る活躍であれば、1野球ファンとしては大歓迎である。
〇自分の見る目が無かった(6年目以上)→松本剛選手(北海道日本ハムファイターズ)
昨シーズンまでの成績を考えると、今シーズン次第ではトレードもあるかと思われた松本選手だったが、一気にパ・リーグ首位打者に輝くまでの大躍進を遂げた。元々評価が高かったバッティング技術だが、今年は打率.347というハイアベレージ。まさかここまで素晴らしい成績を残すとは、想定外の一言だ。さらに、得点圏打率は.419という凄まじく、11年目という経験を活かした勝負強さも見せつけてくれた。
さらに驚きだったのは、21個を記録した盗塁。過去10年で15個しか記録していなかったが、「ここまで走れる選手だったのか」という点も、イメージを覆された。
来シーズンからは新球場で戦うファイターズ。その中心として、更なる活躍を期待したい。
〇衰え知らずのベテラン(35歳以上)→大島洋平選手(中日ドラゴンズ)、平野佳寿投手、比嘉幹貴投手(オリックス・バファローズ)
大島選手は今シーズン、打率.314の活躍。これで6回目の3割達成となった。また、対戦球団別の打率を見てみると、スワローズ戦で.359、タイガース戦で.369、ジャイアンツ戦で.342、カープ戦で.346と、セ・リーグ4球団相手に.340以上を記録するという活躍ぶり。10年以上主力として活躍をしている分だけに相手に研究をされる回数も多く、相当な対策もされている。さらに足の速さも全盛期から比べれば落ちているはずだが、それをもってしてもこの打率の高さは、もっと評価されるべきだと思う。さらに、今シーズン11盗塁を記録し、11年連続2ケタ盗塁という点も見逃せない。
平野投手は今シーズン、48試合登板で3勝28セーブ8ホールド、防御率1.57という成績(ちなみに、48試合登板はチームトップ)。これだけでもすごさは伝わると思うが、さらに凄いのは1イニングあたりに許したランナーの値を示す「WHIP」が0.80という点。これほど安定した投球ができる投手も珍しい。クローザーというポジションの宿命である「打たれた時ばかり大きく取り上げられてしまう」ことに加え、常時150キロオーバーのストレートを投じているわけではないためか、「抑えてる感」があまりないが、数値で見ると凄まじいほどの安定感である。
比嘉投手は今シーズン、30試合登板で5勝5ホールド1セーブ、防御率2.53という成績。ベテランの「仕事人」らしく、右の強打者のワンポイント、イニング途中の火消し、1イニングと、様々な役割をこなしてくれたことはチームにとってはありがたかっただろう。ちなみに、21 1/3イニングで与えたフォアボールはわずか2個。さらに奪った三振は24個。三振を奪えて、フォアボールを与えない。理想的なリリーバーである。そして極めつけは日本シリーズでの圧巻の活躍である。5試合登板、しかもどの場面もチームの窮地と言える場面だったが、完璧なピッチングでチームに流れを呼び込んだ。
それにしても、「ここにきてストレートのスピード、増してないか?」と思わせるほどの若々しさとスローカーブやスライダーを駆使した老獪さがバランス良く合わさっているのが印象的である。
「その1」は以上で終了。明日は「その2」をあげていくこととします。
以上